コモディティ化による価値獲得の失敗:デジタル家電の事例

執筆者 延岡健太郎  (ファカルティフェロー/神戸大学経済経営研究所) /伊藤宗彦  (神戸大学経済経営研究所) /森田弘一  (神戸大学経済経営研究所)
発行日/NO. 2006年3月  06-J-017
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概要

日本のデジタル家電産業は、DVD、デジカメ、薄型TVなど多くの大型商品を日本発のイノベーションによって世界に提供している。それにも関わらず、急速な価格低下(コモディティ化)によって付加価値や利益は限定されている。本研究は、デジタル家電のコモディティ化の現状とメカニズムを分析し、日本企業への提言を行っている。コモディティ化のメカニズムとしては、(1)モジュール化、(2)中間財の市場化、(3)顧客価値の頭打ち、の3点から議論している。特に、「中間財の市場化」を理論的にも実証的にも、モジュール化とコモディティ化を結ぶ中核概念として議論しているところが新しい。提言としては、(1)モジュール販売から安定的な収益をあげるためのプラットフォームリーダー戦略、(2)モジュールと最終商品の両面戦略における矛盾を打破する戦略の必要性、(3)顧客価値における意味的価値の追求、の3点をあげている。