連系線容量を考慮した寡占的卸電力市場の分析

執筆者 田中 誠  (ファカルティフェロー / 政策研究大学院大学)
発行日/NO. 2006年3月  06-J-010
ダウンロード/関連リンク

概要

自由化された卸電力取引市場では、既存の大規模事業者による市場支配力行使の懸念が指摘されている。全国規模の電力市場に参加する寡占的事業者は、地域間を結ぶ連系線の容量も考慮した上で、戦略的に行動するものと考えられる。このため、連系線容量を考慮した寡占的卸電力市場の分析が必要となる。本稿では、均衡制約をもつ数理計画問題 (MPEC) の手法を用いて、連系線容量を考慮したクールノー型のモデルを考察する。そして、仮想的な我が国全国市場を考え、連系線で結ばれた多地域における寡占的卸電力市場のシミュレーション分析を行う。特に、卸電力市場に参加するプレーヤーが増加するケースを考え、電力潮流やクールノー均衡に与える影響について、複数のシナリオのもとで検討する。