都市銀行における効率性仮説

執筆者 筒井義郎  (16年度ファカルティフェロー/大阪大学社会経済研究所) /佐竹光彦  (龍谷大学経済学部) /内田浩史  (和歌山大学経済学部)
発行日/NO. 2005年9月  05-J-027
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概要

本稿は1974年以降2001年度までの都市銀行を対象として、効率性仮説が成立するかどうかを検証した。従来は、効率性仮説は市場構造-成果仮説との対比で、利潤や金利といった市場成果が市場集中度と市場シェアのどちらによってよりよく説明されるか、という枠組みで検証することが多かった。われわれはその枠組みの問題を指摘し、効率性仮説を「より効率的な銀行がより成長する」という命題に集約して、より直接的に検証した。まず、パネルデータを用いて銀行の組織的非効率性と規模の不経済性を推定した。次に、その推定値が次年度の銀行規模にどのような影響を与えるかを吟味した。貸出の誘導形に前期の組織的非効率性と規模の不経済性を追加した回帰分析では、組織的非効率性は負の影響を与えるが、規模の不経済性は想定とは逆に正の影響を与えることが見いだされた。これに対し、銀行の資産に対しては、組織的非効率性と規模の不経済性の両方とも負の影響を与えるという、効率性仮説と整合的な結果が得られた。