地球温暖化防止のための国内制度設計

執筆者 西條辰義  (ファカルティフェロー) /共著  赤井研樹/共著  岡川梓/共著  草川孝夫
発行日/NO. 2004年3月  04-P-005
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概要

本稿は京都議定書を遵守するための国内温暖化防止制度に関する5つの試案を比較・検証することを目的とする。まず、下流の排出主体を炭素税と補助金により規制する英国型制度の検証を行う。次に、上流の化石燃料輸入業者を石油石炭税と排出権取引により規制する上流排出権取引制度を検証する。上流排出権取引制度では、政府保有排出権をオークションで配分し石油石炭税を免除する「全量オークション制度」、石油石炭税と排出権の納付を選択させる「選択制度」、石油石炭税の減税とX%の排出権取得を義務付ける「X%制度」、政府保有排出権量を超える分の排出権を提出させる「提出免除量制度」の4つを検討した。これらの制度を(1)国家全体での費用負担、(2)制度の遵守能力、(3)CDM/JIの利用促進、(4)被規制主体の費用負担という評価基準を用いて比較し、英国型制度よりも上流排出権取引制度が優れていること確認している。さらには、上流型排出権取引制度の中では、どの制度が他よりも優れているとは言い難いことを確認している。