オープン・プラットフォームと非営利組織

執筆者 池田信夫  (上席研究員)
発行日/NO. 2004年3月  04-J-025
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概要

インターネットは、ユーザーがコントロールする非営利組織によってグローバルなネットワークを実現し、オープンソース・ソフトウェアはネットワーク上の共同作業によって商用ソフトウェアをしのぐ信頼性を実現した。こうした成功の原因を経済的なメカニズムとして説明するため、本稿では契約理論の枠組にもとづいて、ネットワークで情報を共有するメカニズムを検討する。情報のネットワーク外部性が大きく、共有されることが社会的に望ましい場合には、プラットフォームが私有されていると、競合を恐れて過少投資が行われるので、オープンソース方式で開発することが効率的になる。非営利の弱い(非金銭的な)インセンティヴは、競合による金銭的な損失をなくすことによって、プラットフォームの開発を促進し、その中立性を高めるのである。このモデルを応用し、情報の特性に応じてどのようなガバナンスを適用すべきかという基準を導く。