『企業活動基本調査』パネル・データの作成・利用について:
経済分析への応用とデータ整備の課題

執筆者 清田耕造  (ファカルティフェロー) /共著  松浦寿幸  (RIETIスタッフ)
発行日/NO. 2004年3月  04-P-004
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概要

本論文は、近年、経済政策の研究に頻繁に利用されている経済産業省『企業活動基本調査』個票データによるパネル・データの有用性を検討するとともに、利用上の注意点、統計整備における課題を整理したものである。『企業活動基本調査』の個票データは永久企業番号を利用することで比較的簡単にパネル・データ化できることが知られている。しかし、調査項目の中には、業種分類や調査項目が時系列で微妙に変わっているものがあり、機械的に調査項目を接続してしまうと、調査項目の変化によって生じる現象を企業活動の変化として誤って捉えてしまう可能性があることがわかった。ただし、個々の調査項目の時系列的な継続性を吟味した上で各年度のデータをリンクしていくと、ほとんどの変数は、非常に安定的な動きを見せていることも明らかになった。この結果は、『企業活動基本調査』から作成されたパネル・データの信頼性の高さを確認するものであり、政策研究にも耐えうることを示唆するものである。