執筆者 | 原山優子 (ファカルティフェロー) |
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発行日/NO. | 2004年2月 04-P-001 |
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概要
日本で「産学連携」という言葉が企業、大学、政府の各界でキーワードとして頻繁に登場するようになったのは、ここ数年の現象である。この背景には、イノベーション・モデルの再考、技術革新を牽引役とする経済成長への期待、科学・技術の社会に対するアカウンタビリティーの要求など「産」と「学」を取り巻く環境の変化がある。
政策面においては、1995年の科学技術基本法の制定を機に、大学等技術移転促進法(1998)を始めとする一連の産学連携推進施策が取られてきた。また審議会レベル、総合科学技術会議においても「産学連携」に関する議論がなされ、政策ツールとしての位置付けも確固たるものとなった。
このように社会的認識を獲得した「産学連携」ではあるが、このコンセプトには多種多様な解釈がなされており、また政府主導で産学連携を推進するべきか、という論点もある。本論では産学連携のフレームワークを形成するにあたって留意すべきであると思われる幾つかの基本点を示唆するとともに、「産」と「学」の仲介機関として注目される技術移転機構(TLO)とインキュベータの現状を分析する。