電波はどう使われているか

執筆者 池田信夫  (上席研究員)
発行日/NO. 2003年10月  03-P-003
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概要

最近、電波の有効利用が重要な政策課題となってきたが、その実態はいまだによくわからないため、われわれは周波数の利用実態を独自に調査した。調査対象としては、もっとも注目されている3.0-6.0GHz帯を採用し、各種公式資料を組み合わせる形で、周波数割当計画の各周波数区画の利用状況を調査した結果、5.0-5.255GHz帯、5.35-5.47GHz帯の開放可能性が一番高いと判定した。また各無線局種別の電波利用料の負担割合について数個のモデルを作成した上で算出を行った結果、どのようなモデルによっても、電波利用料の約93%を負担する携帯事業者の負担が過大であるという結論になった。これは逆にいうと、携帯電話以外のすべての電波利用をあわせても、携帯電話の1割にも満たない価値しか生み出していないということである。問題は帯域の不足ではなく、このような非効率な電波利用が放置されてきたことにある。これを是正するには、まず実態を明らかにし、行政の裁量を排除して電波を効率的に配分する制度を設計する必要がある。