中国の台頭とIT革命の進行で雁行形態は崩れたか
-米国市場における中国製品の競争力による検証-

執筆者 関 志雄  (コンサルティングフェロー)
発行日/NO. 2002年6月  02-J-006
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概要

近年、中国の輸出構造の高度化が急速に進んでいる。しかし、出発点が低かったため、そのレベルは必ずしもまだ高くない。これを反映して、中国の輸出構造は日本のそれとは競合関係ではなく、依然として補完関係にあり、NIEs(新興工業経済群)やASEAN(東南アジア諸国連合)諸国と比べても遅れている。中国の台頭によって雁行形態がすでに崩れてしまっているという見方は、少なくともクロス・セクションの比較という観点からは、当てはまらない。

IT製品に限ってみても、中国の競争力はいまだ日本やNIEs、ASEANなどのアジア諸国には及ばない。日本と中国がそれぞれ高付加価値製品と低付加価値製品に特化しているという棲み分けは明らかであり、特に付加価値の高い製品では重なる部分がほとんど見られない。