執筆者 |
小林 慶一郎 (研究員) |
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発行日/NO. | 2002年6月 02-J-005 |
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概要
本稿では、Krugman(1998)による日本経済に対する一連の分析と政策提言を、理論的観点から検討する。本稿の主な結果は、次の通り。Krugman Modelにおいて、政府の予算制約式を明示的に考慮すると、長期のインフレを実現するためには、中央銀行の貨幣供給だけでは不十分であり、拡張的な財政政策も伴わなければならない。この結果は、物価水準の財政理論(FTPL)の考え方と整合的なものである。また、Krugman Modelを三期間モデルに拡張して分析すると、名目金利ゼロの状況で、財政政策を変更せずに中央銀行が貨幣供給を増やすと、一時的にデフレを深刻化させる可能性があることを示す。