ノンテクニカルサマリー

総合エネルギー統計における石油精製部門のエネルギー・炭素収支の改善について

執筆者 戒能 一成 (研究員)
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このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。

その他特別な研究成果(所属プロジェクトなし)

現行の総合エネルギー統計においては、石油精製部門のエネルギー・炭素収支について、原油などの投入側とガソリンなどの産出側の数量のみを基準としてこれを算定しており、投入と産出の差分は全て誤差としエネルギー消費やエネルギー起源CO₂排出の算定から除外している。しかし、重質油分解触媒の再生時に発生するオイルコークスの焼却分など、当該差分のうちエネルギー起源CO₂の排出源となっている部分が存在する可能性が環境省の関連検討会において指摘されており、石油精製部門についてのエネルギー・炭素収支の統計精度の向上が課題となっていた。

本稿においては、関連する各種の公的統計値を基礎に2013年度から適用される新たな標準発熱量及び炭素排出係数など最新の知見を用いて過去の石油精製部門のエネルギー・炭素収支を正確に再計測し、重質油分解触媒の再生時の排出などと推定される部分と、なお誤差と推定される部分を分離して推計する手法を開発した。

当該結果から、総合エネルギー統計において当該手法を用いて算定される石油精製部門における重質油分解触媒の再生時のエネルギー損失およびCO₂排出などを新たにエネルギー消費およびエネルギー起源CO₂排出として位置づけ、今後当該消費および排出分を公式に計上・報告していくことが妥当であると考えられる。