執筆者 |
五十嵐 則夫 (横浜国立大学) 浦崎 直浩 (近畿大学) 町田 祥弘 (青山学院大学) |
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研究プロジェクト | 企業情報開示システムの最適設計 |
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このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。
上記の表題の概要は以下の通りである。
- IFRSは、原則主義に基づいて作成され、具体的・個別的指針が詳細に公表されないことが予期されており、財務諸表作成者または監査人に、判断の行使が求められている。
- IFRSは公正価値を基盤としているために、より広範囲な会計上の見積もりを含んでおり、財務諸表が経営者の主観的判断を伴うことが多い。
- 上記の状況において、財務諸表監査は、企業のビジネスの分析を実施し、経営者の判断の合理性の評価の要素を検討し、職業的専門家としての判断を行うが、その判断は監査人の価値判断と認識判断とに基づくことになる。
- ただし、価値判断は検証可能であるが、認識判断は事実命題であるので、複雑な経済取引に対して経済的実質に基づく判断をすることは、複雑かつ流動的な心理過程となる。
- 会計上の判断を行う場合には、当該事象を見て判断するのではなく、取引を取り巻く事象を検討して判断する必要がある。
- 監査のアプローチはビジネス・アナリシスに基づくが、分析の視点は財務情報に加えて、企業のバリュー・ドライバーの一部である非財務情報も対象とすることが必要である。
- IFRSに基づく財務諸表の適正性を担保するためには、グローバルなエンフォースメントの課題がある。