ノンテクニカルサマリー

企業法の構造:企業の交渉の仕組における契約・市場・法の相互連関

執筆者 宍戸 善一 (ファカルティフェロー)
研究プロジェクト 企業法プロジェクト-市場と法の制度補完性
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このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。

企業は、企業活動に必須の資源の拠出者間の動機付けの仕組みである。すなわち、物的資本の拠出者たる、株主と債権者、人的資本の拠出者たる、経営者と従業員の4当事者間において、それぞれが持てる資源を企業活動という共同プロジェクトにいかんなく拠出できるよう相互に動機付けを行っている。政府は、このような動機付け交渉に、課税主体として、また、規制主体として、影響を与えている。

法制度は、契約実務や市場と並ぶインフラとして、企業における動機付け交渉の前提となっている。立法に際しては、法制度と契約や市場との相互連関に着目する必要があり、さらに、法制度の中の各部分間の相互連関に注意し、新法が、各当事者のインセンティブに与える影響に関して十分にシミュレーションを行う必要がある。とりわけ、経営者のオートノミーとモニタリングのバランスに留意することが重要である。

図1:企業シェア、厚生比率への政策の影響:数値シミュレーション結果
図1:企業シェア、厚生比率への政策の影響:数値シミュレーション結果