著者からひとこと

Internationalization of Japanese Firms: Evidence from Firm-level Data

編著者による紹介文

企業の国際化に関する新たな理論・実証研究

本書は、輸出や海外直接投資を行う日本企業をさまざまな面から詳細に観察し、近年の国際貿易における研究の焦点である企業の国際化に関する新たな手法とデータを展開している。企業レベルのミクロデータを用いて生産性の異なる日本企業がどのように国際化するかを理論と実証の両面から分析することにより、国際化した日本企業の生産性は国内市場のみに供給する企業と比べて明らかに高い平均生産性を示すものの、米国・欧州企業に比べて日本企業では輸出企業と直接投資企業との間の生産性の差異が必ずしも顕著ではないことを明らかにしている。この点に注目して、本書は企業の国際化に関して、企業間における生産性の違いだけでなく、生産性以外に企業の異質性を生む要因、産業に特殊的な要因、市場規模、輸出や海外直接投資に伴う可変費用、直接投資先国における固定費用などの市場に特殊的な要因をさまざまな観点から分析し、これらの要因がどのように日本企業と米国・欧州企業との間で国際化の態様に違いをもたらすかを明らかにしている。また、直接投資において、企業の管理者と雇用者の間での組合せや市場の組織・制度などの要因が企業の直接投資やアウトソーシングにどのような影響をもたらすかを分析している。本書に収録されている各論文はRIETIの研究メンバーが執筆したものであり、政府統計に基づく企業レベルのパネルデータを用いたユニークな研究を展開している。

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