調査の目的
我が国にとって、世界の成長を自らの活性化のために取り込んでいくことは、人口減少、少子高齢化の中で国内市場の縮小、労働力供給制約の強まりが予想されることから、益々重要となっている。また、新興国経済の急速な成長に伴い、我が国が世界で占める相対的位置は低下している。他方、国際通商秩序を見ると、自由貿易協定がネットワーク化される中でハブとなる国々が出現する一方で、WTOにおける世界的な貿易自由化交渉は種々の困難に直面している。こうした状況から、TPPへの参加の是非など、我が国にとって貿易政策の選択は国の将来を左右する重要な問題となっている。
他方、自由貿易への支持は経済学者の間ではほぼコンセンサスとなっているが、自由貿易が現実に政策として選択されることは稀である。このため、近年では、利益集団を巡る政治過程の経済分析の他に、個人の特性から貿易政策への支持をとらえる実証研究が国際比較も含め欧米で行われているが、先行研究が用いている質問項目は、輸入を制限すべきかといったごく一般的なものに限られている。
そこで、我が国において現在課題となっている具体的な貿易政策への支持に関する調査を実施する。個々人の特性が貿易政策への支持に如何なる影響を与えているかを中心に計量的実証分析を加え、我が国にとって現実的でかつ望ましい貿易政策の実現に資する情報の抽出・整理を目指す。
調査概要
- 調査対象
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全国の20歳以上79歳以下の男女個人
国勢調査の人口構成比(性・年代・エリア)に準拠 - 調査手法
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インターネット調査(株式会社インテージ・ネットモニターより抽出)
※一部郵送調査により補足 - 実施時期
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平成23年(2011年)10月
- 回答数
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10,816人(31.1%)
- 主な調査項目
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- 回答者の特性(年齢層、性別、職種、業種、学歴、居住地、子の有無など)
- 貿易・経済についての見方(輸入自由化、輸出拡大、工場の海外移転、外資企業の進出、外国人労働者についての考え方など)
関連リンク
- 2020年2月 20-P-006
「個人の貿易政策選好に関するミクロデータ分析―RIETI一万人調査による研究の概要―」 (冨浦 英一、伊藤 萬里、椋 寛、若杉 隆平) - 2015年1月 15-E-003
"Trade Policy Preferences and Cross-Regional Differences: Evidence from individual-level data of Japan" (ITO Banri, MUKUNOKI Hiroshi, TOMIURA Eiichi and WAKASUGI Ryuhei) - 2014年11月 14-E-067
"Reciprocal Versus Unilateral Trade Liberalization: Comparing individual characteristics of supporters" (TOMIURA Eiichi, ITO Banri, MUKUNOKI Hiroshi and WAKASUGI Ryuhei) - 2014年11月 14-J-052
「個人の貿易政策の選好と地域間の異質性:1万人アンケート調査による実証分析」 (伊藤 萬里、冨浦 英一、椋 寛、若杉 隆平) - 2013年7月 13-J-049
「貿易政策に関する選好と個人特性―1万人の調査結果―」 (冨浦 英一、伊藤 萬里、椋 寛、若杉 隆平、桑波田 浩之) - 2013年2月 13-E-009
"Endowment Effect and Trade Policy Preferences: Evidence from a survey on individuals" (TOMIURA Eiichi, ITO Banri, MUKUNOKI Hiroshi and WAKASUGI Ryuhei)