2012-1-02

平成24年度「日本のものづくりニッチトップ企業に関する調査」

プロジェクト

優れた中小企業(Excellent SMEs)の経営戦略と外部環境との相互作用に関する研究

プロジェクトリーダー

井上 達彦 (ファカルティフェロー)

サブリーダー

細谷 祐二 (コンサルティングフェロー)

調査の目的

ニッチトップ企業(以下「NT企業」)とは、既に提供されている同種の機能を持った製品や加工サービスとの差別化や専門化を進め、相対的に小さい独自の市場を生み出し、極めて高い競争力を背景に国内外で高い市場シェアを確保する企業である。NT企業は、日本のみならず先進国に広く存在しているが、高度なものづくり集積として世界的にも稀有な発展をした日本では、特に数が多く日本列島に広く分布している。今回は、NT企業あるいはそれを目指して活発な企業活動を行っている中堅・中小企業を全国から3,000社抽出し、体系的な調査を行うもので、我が国ではじめての試みになる。

NT企業の存在は、以前から認識されており、2006年度から4年続けて行われた中小企業庁の「元気なモノ作り中小企業300社」の選定企業の多くもこうした企業である。また、政策的にもこうした企業を全国的に増やしていくことがここ15年ほど目標とされてきた。しかし、こうした企業の実態を深く調査研究することは行われてこなかった。

今回、当研究所の研究プロジェクトとして改めて体系的調査を行う背景は次のとおりである。すなわち、円高の進展、新興市場の拡大等を受けて国内の産業空洞化が懸念される中、多くのNT企業は高い競争力を背景に日本に主要な拠点を残しつつ、輸出等の活発な活動を通じ、地域経済ひいては日本経済の活性化に貢献している。また、次々と競争力のある製品や加工サービスを生み出すイノベーター企業として、日本の将来に不可欠な貴重な存在となっている。したがって、既に活躍しているNT企業を一層発展させ、同種の企業を国内に増やしていくことが重要な政策課題となってきている。そのためには、NT企業に共通する優れた経営戦略上の特徴を抽出し、こうした企業を目指す他の中小企業にそのノウハウ等を移転することが必要と考えられる。経済産業省では、昨年、特に優れたNT企業30社強を対象に詳しいヒアリング調査を実施した。今回の当研究所のアンケート調査は、より広い範囲の中堅・中小企業を対象にヒアリング調査で得られた知見を実証するとともに、対象企業の政策ニーズを把握し、国の政策に反映することを目指すものである。

調査概要

     
調査対象

NT企業と想定される中小・中堅企業の製造事業者 約3,000社

調査手法

郵送調査

実施時期

平成24年(2012年) 7月~8月

回答数(回答率)

844社(28.1%)

主な調査項目
  • ① ニッチトップ製品の保有・開発
  • ② 関連企業等との関係、外部資源の活用
  • ③ 知的財産管理、技術優位性
  • ④ 国・関係機関等の支援策の利用状況
  • ⑤ 海外取引・海外展開 等

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