調査の目的と背景
日本経済は、中長期的には、出生率低下による高齢化や人口減少、グローバリゼーションの進展と国際競争の激化、エネルギー環境制約の増大など、厳しい経済環境の悪化に直面することは否めない。実際、IMD国際競争力ランキングでは、日本の長期的な競争力低下が顕著であることが示されており、競争力の回復は危急の課題であると言って良い。
日本が国際競争力を回復し、経済成長を成し遂げるためには、イノベーションによる新事業が持続的に創出される基盤を構築し、技術やビジネスモデルの革新を通じて、地域経済の活性化を図ることが必要条件の一つとなる。それらを担う研究開発人材や、新たなビジネスチャンスを事業化し、社会経済に貢献する人材の育成が何よりも求められる。
このような問題意識のもと、これまで数学教育の重要性を解明し、理系離れの一つの理由となった理系・文系の所得差といった問題を研究する中で、理系教育の重要性を認識するようになった。理系教育が科学技術発展の基礎であり、R&Dの成功確率のみならず、R&D成果が波及する裾野を広げて、応用性を高めると考えられ、その意味での理系教育の重要性を解明する必要性が高まってきている。
本調査では、理系教育の時間的推移と対応させながら、人的能力および稼得能力がどのように変化してきているかを明らかにし、理系教育が社会経済に貢献する人材の育成に果たしてきた役割を明らかにすることを目的として調査を実施した。
調査概要
- 調査対象数
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100,000人
- 調査対象条件
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25歳~65歳以上の一般男女
- 調査方法
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インターネット調査
- 回答数(4年制大学卒業以上の学歴を有する人)
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11,399人
- 調査期間
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2011年2月10(木)~2月23日(水)
- 主な調査項目
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高校・大学・大学院における科目履修状況と学習量、得意・不得意の程度、職員に採用された時の採用方法、就業状況、業種、企業規模、職種、転職行動、配属部署、所得、職位、R&D部門における地位、R&D貢献内容等