調査の目的
東日本大震災によって、被災地域で多くの尊い人命が失われたのに加えて、企業の生産活動も大きな被害を受けた。直接に被災地の企業の生産活動が停滞するだけではなく、被災した企業からの部品の供給が止まったために、非被災地でも生産にも影響が及ぶことが多く見られた。このことから、企業は生産ネットワークのあり方について再考すべきであるという意見も聞かれる。また、生産拠点が壊滅的な影響を受けた、インフラ復旧の見通しが立たない等の理由から、国内の他地域や海外に生産拠点を移転する動きもみられている。このように、東日本大震災は被災地の企業に対して、直接的な被害だけではなく、長期的に大きな影響を与えた。
当アンケートは、被災地域の製造業の事業所を対象として、震災によってどの程度被害を受けたか、復旧のための支援をどこからどのような形で受けたか、震災後に生産ネットワークのあり方が変化したか、震災後に事業所を移転したか、もしくは計画しているかなどについて調査を実施した。
調査概要
- 調査対象
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東日本大震災災害救助法適用市町村(岩手県・宮城県・福島県の全域、青森県・茨城県・栃木県の一部)において、震災前に(から)製造業に従事していた事業所6,033件(企業全体の従業員数、資本金、などを問わない)
- 調査手法
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郵送調査
- 実施時期
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平成24年(2012年)1月~2月
- 回答数
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2,117件(35%)
- 主な調査項目
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- 国内出荷額(個人消費向けと中間財の割合、構成比)
- 販売総額中の直接輸出・商社などを通した比率
- 事業所の立地理由
- 自社の競争優位
- 震災の被害状況
- 復旧状況
関連リンク
- 2022年6月 22-E-059
"Establishment-level Simulation of Supply Chain Disruption: The case of the Great East Japan Earthquake" (INOUE Hiroyasu, OKUMURA Yoshihiro, TORAYASHIKI Tetsuya and TODO Yasuyuki) - 2013年5月 13-J-024
「企業間取引関係のパフォーマンス決定要因:東日本大震災におけるサプライチェーン寸断の例より」 (中島 賢太郎、戸堂 康之) - 2013年4月 13-E-028
"How Do Supply Chain Networks Affect the Resilience of Firms to Natural Disasters? Evidence from the Great East Japan Earthquake" (TODO Yasuyuki, NAKAJIMA Kentaro and Petr MATOUS) - 2013年4月 13-P-006
「絆が災害に対して強靭な企業をつくる-東日本大震災からの教訓-」 (戸堂 康之、中島 賢太郎、Petr MATOUS) - 2013年2月 13-J-002
「震災からの復旧期間の決定要因:東北製造業の実証分析」 (若杉 隆平、田中 鮎夢) - 2013年1月 13-P-001
「『東日本大震災による企業の被災に関する調査』の結果と考察」 (浜口 伸明)