プログラム:人的資本

活力ある日本経済社会の構築のための基礎的研究

プロジェクトリーダー/サブリーダー

西村 和雄 顔写真

西村 和雄 (ファカルティフェロー)

リーダー

プロジェクト概要

経済を複雑系とみることによって、異なる個人の行動経済学的分析と、異なる経済主体から成る経済の動学分析を基礎とした統合的理論研究を通じて、経済成長をもたらす要因を明らかにする。ミクロ的分析としては、アンケート、実験、脳計測と解析から成り立っている。マクロ的分析としては、非線形動学的手法を使って、海外の研究者と議論しながら進めてゆく。いずれも、学際的なアプローチをとるものである。

日本の経済・社会を複雑系として捉えるなら、現象の背後に本質的な与件が隠れていることに気付く。本質的な与件を変えることで、システムが生みだすダイナミックな動きを改善し、経済成長を可能にすることができるはずである。

本プロジェクトでは、問題に取り組むに当たり、特に以下の3点に注目する。第1点は「多数経済主体からなる経済の成長と安定化に対する影響」、第2点「人的資本が経済成長に与える影響」、第3点「経済主体の違いと意思決定の関係」である。

第1点に関しては、経済成長の国際的連関に関する基礎的な分析を行い、多数の国の間に外部性を通じた相互依存関係がある場合について、貿易を通じた国際連関を分析することである。

第2点については、人的資本に注目し、これらの要素が経済成長において果たす役割を分析する。特に、教育の果たす役割について分析し、望ましい教育制度のあり方について議論する。2000年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のヘックマン教授の研究では、幼児教育への投資効果が極めて大きい。教育がイノベーションと成長への鍵となる。

第3点については、経済主体の認知のあり方が、学習や意思決定にどのような影響を与えるかについて、個人の脳活動計測を含めた神経経済学的な分析を行う。

プロジェクト期間: 2011年4月 1日 〜 2013年3月31日

主要成果物

2012年度の成果

RIETIディスカッション・ペーパー

2011年度の成果

RIETIディスカッション・ペーパー