プロジェクト概要
複雑な生産・流通ネットワークは東アジアの特徴である。日本、台湾、韓国などの熟練労働者によって生産された高性能・技術集約型の部品は中国やASEAN諸国に輸出され、低賃金労働者によって組み立てられ、主としてアジア地域外に再輸出される。東アジアからの輸出は、欧米との大きな不均衡を引きおこしてきた。本プロジェクトでは、為替が東アジアなどの貿易パターンにどのような影響をもたらしているか、東アジアの輸出や生産ネットワークがどのように進化しているのか研究する。基本的に、サプライチェーンに携わる各国の為替レートは輸出に影響を与えると考えられる。そのため、本プロジェクトでは、中国、韓国、台湾、日本、ASEANの為替レートが東アジア地域の輸出にどのような影響を及ぼしているかについて研究する。また、2007~2012年の円高と2012年11月以降の円安が、日本の貿易や日本企業の収益性にどのような影響をもたらしたのかについても研究する。さらに、スイスなどにおける為替政策の経験についても取り上げる。また、本プロジェクトでは、東アジアの輸出品の高度化について検証する。日本は近いうち技術的フロンティアに到達するのだろうか。韓国・台湾と日本との差はどの程度あるのだろうか。ASEAN諸国はどのように比較優位性を向上させているのだろうか。アジア諸国は域外への輸出において、どの程度協業し、どの程度競合しているのだろうか。最終的には本研究の政策的インプリケーションを示したい。
プロジェクト期間: 2013年10月 2日 〜 2015年9月30日
主要成果物
2015年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
2014年度の成果
RIETIディスカッション・ペーパー
- 15-E-016
"Enjoying the Fruits of their Labor: Redirecting exports to Asian consumers" (THORBECKE, Willem) - 14-E-049
"Measuring the Competitiveness of China's Processed Exports" (THORBECKE, Willem) - 14-E-039
"China-U.S. Trade: A global outlier" (THORBECKE, Willem) - 14-E-031
"Export Sophistication and Exchange Rate Elasticities: The Case of Switzerland" (THORBECKE, Willem and KATO Atsuyuki)