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2009年度政策研究領域(基盤政策研究領域)

III. 経済のグローバル化、アジアにおける経済関係緊密化と我が国の国際戦略

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(2010年4月15日現在)

経済のグローバル化が益々進展し、特にアジア諸国における経済が急速に緊密化してきている中、国際的な通商ルール(WTO、FTA)や貿易投資の政策展開のあり方についての我が国としての総合的な国際戦略を確立していくことが重要である。我が国としての通商を含むそうした戦略の展開への寄与を目指し、アジアに展開する貿易・直接投資・技術のバリューチェーンと金融・為替制度の変貌を分析し、アジアや世界に向けた政策提言を行う。また、そうした中で、各通商ルールについての運用状況の蓄積や理論的な整理、主要な経済パートナー諸国の経済実態や各々の通商戦略の分析、企業の国際的なビジネス展開を可能としていく事業環境等に関する研究を行う。

1. 国際企業・貿易構造の変化と市場制度に関する研究

活動期間:2007年7月1日〜2011年3月31日

プロジェクトリーダー

若杉 隆平ファカルティフェロー

プロジェクト概要

近年、目覚ましい経済発展を遂げた中国は、新興国の中でも日本にとって経済的結びつきが強い。特に貿易分野では日本にとって中国は最大の貿易相手国となり、中国にとって日本は3番目の貿易相手国となっている。また、日本企業の対中直接投資累計額は中国にとって2番目の規模である。こうした密接な経済取引が進む状況下において、中国の経済発展を支えるメカニズムの解明とその持続可能性について、政策担当者と研究者が大きな関心を寄せている。RIETIは中国経済の分析を進めるため、2006年に中国国務院発展研究センターとの間で研究協力協定を締結した。本ワーキンググループでは、その協定に則り、中国の企業・産業データや日本の海外進出企業データ等を利用し、中国の経済成長を牽引する外資企業がもたらす影響や、国際化が進む中国企業の実態を定量的に分析することを目的としている。

主要成果物

DRC-RIETIワークショップ

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2. WTOにおける補助金規律の総合的研究

活動期間:2008年1月22日〜2010年3月31日

プロジェクトリーダー

川瀬 剛志ファカルティフェロー

プロジェクト概要

補助金制度は各国の広汎な政策目標の達成の手段として広く活用されているが、輸出補助金に見るように国際通商における資源配分を歪曲する効果を持つことがある。それゆえWTOの下では、補助金・相殺関税協定(SCM協定)および農業協定の規律対象となっている。補助金を巡っては、WTO発足後すでに合計30件を越えるパネル・上級委員会の判断が示されているばかりでなく、今後は関連協定の適用を暫定的に停止していた条項の失効により、紛争の増加が予想される。そこで本研究は、SCM協定・農業協定に関する判例の検討によりその解釈・適用の慣行を明らかにし、わが国および主要貿易相手国の補助金制度のWTO協定上の問題点を精査し、更にWTO協定整合的なわが国の補助金制度および相殺関税制度のあり方に示唆を得る。

主要成果物

RIETIディスカッションペーパー

RIETIポリシーディスカッションペーパー

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3. Promoting East Asian Production Networks, the Unwinding of Global Imbalances, and the Resolution of the Economic Crisis

活動期間:2007年12月27日〜2009年6月17日

プロジェクトリーダー

THORBECKE, Willem上席研究員

プロジェクト概要

This year's research seeks to understand Asian production networks and Asia's trade with the rest of the world. It also considers policy measures to promote recovery and bring stability to East Asia. Some of the work involves presenting an analytical description of production networks and investigating how exchange rate changes and changes in income in the rest of the world affect Asian trade. For example, one policy implication is that exchange rate stability in East Asia would be desirable because exchange rate volatility would interfere with the slicing up of the value-added chain. Another policy implication is that East Asian countries should stimulate demand domestically to reduce their exposure to a slowdown outside of the region. Some of the work looks at previous agreements between world leaders to resolve global imbalances and to promote recovery. Other work considers how Federal Reserve monetary policy can be effective in the face of changes in inflation.

Finally, the work considers a new development model for China and East Asia. The question is whether East Asia can be an engine of growth for the world economy, given that demand in Western economies has collapsed. The evidence indicates that if East Asia shifts to a domestic demand-led growth model, it could contribute significantly to growth in the rest of the world.

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4. 開発援助の先端研究

活動期間:2007年7月23日〜2010年3月31日

プロジェクトリーダー

澤田 康幸ファカルティフェロー

プロジェクト概要

経済成長支援から直接の貧困削減支援へ、プロジェクト中心から財政支援中心へ、融資中心から債務削減・グラント中心へ、バイからマルチへと国際的な開発援助に関する議論が大きな転換点を迎えている。2006〜08年度に実施した「開発援助のガバナンス構造プロジェクト」「開発援助の先端研究プロジェクト」では、エビデンスに基づきながらアジアとアフリカのマクロ的な援助効果の違いを体系化し、ドナーの援助配分行動や技術協力の効果を測定することを目的とした。これら研究の成果を受け、2009年度はさらに、1)国際協力を通じた災害リスクを管理・対処するための保険機能構築の基礎研究、2)援助の経済成長促進効果についての因果関係解明、を発展させて研究する予定である。

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5. 東アジアの金融協力と最適為替バスケットの研究(旧 アジアの金融協力と最適為替バスケットの研究)

活動期間:2009年6月1日〜2010年5月31日

プロジェクトリーダー

伊藤 隆敏ファカルティフェロー

サブリーダー

小川 英治ファカルティフェロー

プロジェクト概要

2008年の世界金融危機の中で、米ドルが唯一の基軸通貨である国際通貨体制についての改革提案が行われるようになってきた。当研究プロジェクトでは、これまで、東アジアにおいて将来的には共通通貨バスケットを参照とした為替政策の国際協調を長期的に望ましい選択肢と位置づけ、共通通貨バスケット制度への移行までの金融為替政策運営、望ましい共通通貨バスケットの構成等を探るという、政策に直結する研究を行うことを目指してきた。今年度は、2007年以降の世界金融危機が東アジアの域内金融協力や為替制度選択にどのような影響を与えるかを考慮に入れた上で、2005年以降RIETIのWeb上で公表されているアジア通貨単位(AMU)およびAMU乖離指標を用いた為替協調政策の研究、貿易建値(インボイス)通貨の研究、日系企業のパススルー率の推定などの結果を踏まえて、アジアの通貨体制のあり方を模索する。

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6. 貿易と環境、食品安全性

活動期間:2007年7月1日〜2008年9月30日

プロジェクトリーダー

神事 直人ファカルティフェロー

プロジェクト概要

国際間の貿易において現在重要な争点である「貿易と環境」と「食品安全性と貿易」に関して、経済学と法学の双方から総合的・学際的にアプローチする。貿易と環境については、貿易の自由化が環境を改善するか否かに関する実証研究や、森林の違法伐採問題に関する理論的研究、企業の自主規制による環境対策に関する理論的研究などに取り組む。また食品安全性と貿易については、WTO協定において食品安全問題に関連する衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)について、法学と経済学の双方から分析を行うとともに、SPS協定が関連するWTO紛争案件についても分析を行う。さらに、食品安全規制の消費者便益について、日本のBSE対策を事例として推定を試みて考察を行う。

主要成果物

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7. FTAの効果に関する研究

活動期間:2009年4月6日〜2010年4月30日

プロジェクトリーダー

浦田 秀次郎ファカルティフェロー

プロジェクト概要

自由貿易協定(FTA)は加盟国間の貿易障壁を撤廃し貿易を自由化する取り決めであるが、1990年代以降、急増している。その背景には、世界貿易機関(WTO)での貿易自由化交渉が遅れていることがあるが、それと共に、FTAは非加盟国を差別する貿易措置であることから、FTAから除外された国は不利な状況に対応するためにFTAを設立するという形でドミノ効果が発生することもある。本プロジェクトの目的は、FTAの貿易への効果を分析することであるが、第一段階として企業によるFTAの利用度の実態を把握し、第二段階としてFTAの貿易への影響を考察する。分析の対象となる国は、日本、中国、韓国、タイ、豪州である。

主要成果物

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ワークショップ

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8. 中国の台頭と東アジア地域秩序の変容

活動期間:2007年7月1日〜2009年3月31日

プロジェクトリーダー

白石 隆ファカルティフェロー

プロジェクト概要

中国の台頭が今後20年程度のタイムスパンをとった時に、東アジア地域秩序にどのような変容をもたらす可能性があるのか、これを中国国内の政治問題にも留意しつつ、地域秩序のレベル、そして中国周辺諸国の政治、経済、社会のレベルにおいて分析することが本研究の目的である。中国の台頭をめぐる議論は「脅威」と捉えるものから「チャンス」と捉えるものまで大きな幅があるが、その大半が印象論で終始している。それに対して本研究は、中国と中国周辺諸国の政治、経済、社会の状況を具体的に研究している研究者と議論することを通じて、中国が東アジア地域秩序にとってどのような存在になるのかを判別できる因子を明らかにしていくものである。

主要成果物

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9. 通商関係条約と税制

活動期間:2008年10月14日〜2010年3月31日

プロジェクトリーダー

小寺 彰ファカルティフェロー

サブリーダー

松本 加代コンサルティングフェロー

プロジェクト概要

通商関係条約(WTO協定、経済連携協定、投資協定等)は、通商措置を対象とするため、租税に関する言及があっても、租税措置のどのような面を規律するかは明確でなかった。しかし、通商条約が租税分野に及ぼす規律の重要性は、国際的に広く認識されるようになった。

両者の関係の重要性は、第三者機関によって通商条約が客観的に解釈されることにより顕在化した。1980年代に酒の等級がGATT紛争解決手続に提訴され、GATT違反が示されたのは、GATTの規律が税制に及ぶことを明確化した好例である。また、通商条約のカバレッジの広がりにともない、両者の関係が問題となる機会も増大している。

さらに、この問題は、二国間租税条約の存在によって複雑化している。通商条約上、租税条約に関する事項が一定程度適用除外とされることは多い(GATS、日本のEPA等)。しかし、そうでない場合は国内措置をどう変更するかという問題にとどまらず、通商条約と租税条約の条約相互間の調整の問題となる。このことは、両条約の紛争解決手続きの関係においても問題となる。

以上のような問題意識に基づき、国際法、国際経済法、租税法、EU法等の法学分野の研究者と場合によっては経済学の研究者を加えた小規模な研究会を組織する。

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10. 貿易政策と企業行動の実証分析

活動期間:2008年8月26日〜2010年7月31日

プロジェクトリーダー

大橋 弘ファカルティフェロー

プロジェクト概要

本プロジェクトの目的は、通商活動(貿易投資をはじめとする国際的な経済活動)に係わる政策や制度が、企業活動や産業構造に与える影響・効果を実証的に評価・分析することである。これまでの伝統的な研究では、代表的な企業の存在を仮定したもとで厚生評価を行うことに力点があった。しかし最近の分析では、企業間の差異に注目しながら、その戦略的な企業競争を許しつつ、通商・貿易政策を評価する試みがなされている。グローバル化した経済の中で、企業は必ずしも通商政策や制度に対して受動的に行動するとは限らない。例えば特殊関税などの貿易政策に対しては、企業はより戦略的な思惑を持って行動することで、政策の決定プロセスにも影響を与えうることが知られている。一方で、こうした理論的な可能性が、どれだけ現実に妥当するかについての実証的分析は、未だ端緒についたばかりである。本プロジェクトの特徴は、企業活動のグローバル化や東アジアでの事業ネットワークが拡大深化していく中で、企業行動の分析に焦点をあてながら国際貿易の制度や通商政策のあり方を実証的に評価することにある。

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11. 日本企業の海外アウトソーシングに関する研究

活動期間:2008年8月4日〜2010年7月31日

プロジェクトリーダー

冨浦 英一ファカルティフェロー

プロジェクト概要

近年、先進諸国においては、製造工程のみならず研究開発等の広範な業務・機能が海外へ移転(offshoring)、しかも同一多国籍企業内とは限らず外国の他社にまで外注・委託(outsourcing)され始めるに至った。このため、我が国の貿易政策・地域経済政策・産業政策の立案に当たっても、こうした国境を越えたアウトソーシングの実態について定量的な現状把握が不可欠となってきた。そこで、本研究では、企業調査結果の計量実証分析により、政策的にも重要な日本の実態解明に資するとともに、新たな貿易理論の検証にもつなげるべく、我が国における海外アウトソーシングに関する分析を行う。

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12. 「国際貿易と企業」研究

活動期間:2008年9月2日〜2010年7月31日

プロジェクトリーダー

若杉 隆平ファカルティフェロー

サブリーダー

戸堂 康之ファカルティフェロー

プロジェクト概要

企業の生産性の高さが輸出や直接投資への参入を促す要因となることについては、近年多くの理論分析が行われており、企業の異質性を国際貿易に関する分析に取り入れることは、研究の世界的潮流となっている。しかし、日本企業に関しては、まだ十分な研究がなされていない。この分野での研究を深化させることは、新しい貿易理論との実証研究において、米・欧の研究グループに対応して日本の研究グループとして国際的に一定の貢献をすることになる。また、日本企業の輸出と直接投資は、経済成長、所得水準の維持にとって大きな意味を有する。

本研究では、これまでhomogeneousにとらえられてきた企業が実際にはheterogeneousであることに注目した最新の理論的実証的研究の成果を踏まえ、企業レベルデータを用いて日本企業の貿易・海外投資・現地生産を徹底的に分析することにより、新たな研究の進展を目指すとともに、産業政策上の新たな含意を引き出すことを目標に研究を進めている。

2009年度においても、基本的には前年度に引き続き、国際貿易に企業の異質性 がどのように関わっているかを理論、実証の両面から研究するが、金融危機後の世界不況と日本企業の輸出行動に焦点を当てた研究を発展させるため、貿易と労働(正規雇用と非正規雇用)、輸出産業育成政策のレジティマシー、輸出企業のパフォーマンス、輸出活動とR&D活動の相互補完関係、金融危機と輸出の構造変化といった研究課題にも取り組む。

主要成果物

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13. 大国間秩序の変化と日本外交の課題

活動期間:2008年10月17日〜2010年3月31日

プロジェクトリーダー

中西 寛ファカルティフェロー

プロジェクト概要

2008年から2009年にかけてはアメリカの新政権発足、北京オリンピック後の中国の変化、ロシアの勢力圏外交の復活傾向など、冷戦終焉以降最大といってもよい国際秩序の再編成の契機が訪れつつある。他方、日本は小泉改革後の秩序再編成に手間取っており、内政上の混乱はしばらく続く見通しである。しかし国際環境の変化を分析し、それに対応した外交政策がとられる必要があるし、内政で落ち着いた時にはより基本的な議論が必要となろう。本研究は、2008年から2009年にかけてはグローバルな国際秩序の変容期にあると捉え、その変化の本質を明らかにし、日本外交がいかなる対応をなすべきか、根底的レベルで考察すると共に、必要に応じて実践的な政策課題に対する提言も含ませる。(東アジアにおける環境変化は恐らく2009年後半以降、実質的な議論が可能となると見ている)

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14. 環境と貿易

活動期間:2008年10月1日〜

プロジェクトリーダー

山下 一仁上席研究員

プロジェクト概要

環境問題と国際貿易との間には密接な関係が指摘されている。ガット・WTOの場でこれまでに「環境と貿易」を巡ってしばしば貿易紛争が起こってきた。イルカ・マグロ事件のガット・パネルの裁定は、ガット史上初めてニューヨーク・タイムズ紙の一面を飾った。これに反発した環境保護団体によって反グローバル化の激しい街頭運動が展開され、1999年のWTO・シアトル閣僚会議は失敗に追い込まれた。この事件に象徴されるように1990年代から環境保護団体は、ガット・WTOが環境利益を侵害している、貿易の自由化によって経済が拡大すれば環境がますます破壊されると批判してきた。オバマ新アメリカ大統領は大統領選で企業が環境を犠牲にすることによって競争力を得ることができないようなルールをFTAやWTOに導入すべきであると訴えた。来年以降のWTO交渉において、これまでは抑えられてきた「環境と貿易」を巡る議論が中心的なイッシューとして浮上してくる可能性が非常に高い。このプロジェクトでは、国際間の貿易において現在重要な争点である「貿易と環境」に関して、経済学と法学の双方から総合的・学際的にアプローチする。

主要成果物

RIETIディスカッションペーパー

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15. エネルギービジネス分野におけるグローバリゼーションに関するビジネス戦略とルールの調査研究

活動期間:2008年9月〜2009年8月

プロジェクトリーダー

白石 重明上席研究員

プロジェクト概要

経済グローバル化のコンテクストにおいて生産性向上をいかに図るかという課題に対する有効な政策提言につなげていくことを念頭に、経済グローバル化をマルチプル・ゲームとして理解してその実相と課題を抽出したこれまでの成果に立脚して、クロスボーダーM&A等を通じた欧州の電力・ガス事業の再編等の具体的な動向をビジネス戦略の観点からフォローしつつ、あわせて、その動向に対するEU委員会や主権国家の反応を踏まえて、関連するルールのあるべき姿について検討を加える。なお、本調査研究は、OECD/IEAとの共同プロジェクトとして実施する。

主要成果物

Special Report

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16. オバマ政権外交・安全保障政策の動向に関する研究

活動期間:2008年12月1日〜2010年3月31日

プロジェクトリーダー

久保 文明ファカルティフェロー

プロジェクト概要

オバマ政権は内政だけでなく外交においても、きわめて深刻で巨大な課題に複数直面している。イラクやアフガニスタンはいうまでもなく、北朝鮮、イラン、イスラエル・パレスチナ関係、あるいはパキスタンの動向などは、その一例に過ぎない。本プロジェクトは、オバマ政権の下でアメリカの外交・安全保障政策がどのように展開されていくかについて、政策担当者の外交観に焦点をあてることによって解明していく。現段階で見て取れる限りでは、オバマ政権の外交・安全保障政策担当スタッフは、民主党のもっとも左の勢力、すなわち左派・反戦派を基本的に除外し、中道派を柱とし、なおかつロバート・ゲーツやブレント・スコウクロフトら共和党系穏健派ないしリアリストにも幅を広げようとしているように見える。このような基本的外交観を把握しつつ、各論として、アジア、中東、核不拡散など、個別の政策についても分析を深めていきたい。

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17. 日本企業の対中投資に係る考察

活動期間:2009年3月3日〜2009年7月28日

プロジェクトリーダー

柴生田 敦夫上席研究員

プロジェクト概要

急速な経済成長を続ける中国に対して中国脅威論を唱える向きもあった日本の産業界は、現在では中国経済の活力を自社のビジネスの活性化により生かす方向に転換しつつある。しかし、日中経済関係が緊密化し、日系企業の中国に対するコミットが高まっていることは、中国経済の動向が日系企業の経営に及ぼす影響度がますます大きくなっていることも示している。こうした背景から、日系企業は対中ビジネスを拡大させる一方で、中国リスクに対する関心も一層高めている。

本研究は、上記のような現状にある日中の経済関係を直接投資の観点から概観する。まず、日中の投資関係の推移を時系列で概観し、次に、2007年および2008年上半期までの対中直接投資の動向を分析する。その上で、中国の対内直接投資に占める日本の地位を検証し、さらに、対中直接投資に関連するいくつかの論点についても考察する。最後に、日中投資関係の将来について展望することを目的とする。あわせて、日系企業が投資行動を中国において円滑に実行していくに当たって理解しておくべき中国内の個別各事象の現状について適宜紹介する。

主要成果物

RIETIポリシーディスカッションペーパー

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18. 企業活動の国際化と国際競争力に関する調査研究

活動期間:2009年7月1日〜2010年6月30日

プロジェクトリーダー

八代 尚光コンサルティングフェロー

プロジェクト概要

経済活動のグローバル化と中国・インドをはじめとする新興国の躍進により、日本経済と日本企業を取り巻く環境条件は激変した。こうした中で、グローバル化をより多くの日本企業と日本経済の発展の機会とするためには、より積極的な経済産業活動の国際化が必要となる。輸出や直接投資を行う企業は、国内市場のみを活動範囲とする企業に対して生産性等のパフォーマンスにおいて優っていることが、これまでの研究で示されている。本研究は、企業活動の国際化を、貿易や海外生産のみならずイノベーション活動を含む多面的な視点から観察し、こうした国際化がどのように優位性を形成するのかを解明するとともに、中小企業を含む幅広い日本企業の国際化と成長に寄与する政策提言を導出することを目的とする。

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