やさしい経済学―女性の活躍と経済効果

第3回 雇用政策、働き方改革に軸足

児玉 直美 コンサルティングフェロー

女性の就業を促進または阻害する政策には、保育所整備に代表される「予算」、配偶者控除などの「税制」、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、女性活躍推進法などの「法律」があります。

これ以外にも、時間外労働やフレックスタイムを規定する労働基準法、パートタイム労働法、労働者派遣法や、企業の制度、例えば総合職・一般職の雇用管理、年功賃金や成果主義賃金といった賃金制度、配偶者手当も女性雇用に影響する可能性があります。

これらの政策の目的は、(1)ワークライフバランス(WLB)(2)男女均等(3)少子化対策の3つに大別できますが、目的達成のための手段は互いに重なり合っています。かつて女性の活躍を促進するための政策は、1985年の男女雇用機会均等法制定、97年の同法改正、92年の育児・介護休業法制定とその後数次に及ぶ改正など女性に焦点を当てた政策が中心でした。最近は長時間労働の見直し、より柔軟な働き方への移行(フレックスタイムや在宅勤務)、男性の育児参加など男性も含めた働き方改革が進められています。

WLB施策やポジティブ・アクション施策(雇用における男女の均等な機会及び待遇の確保に支障となっている事情を改善するために必要な措置)が整い、労働時間の短い、雇用流動性の高い企業で女性正社員比率や女性管理職比率が高く、長期勤続、年功賃金などの日本的雇用慣行が強い企業で女性の活用度が低いことを多くの研究が実証しています。

政府や企業の女性活躍促進施策の結果、女性の就業パターンとして最も多いパターンが「結婚・出産後も就業継続する女性が多い」という企業の比率は、2006年の47.6%から、14年の72.9%へと大幅に上昇しています。

この上昇の要因を、WLB施策が導入された制度導入効果と、WLB施策の利用者が増えた制度運用効果に分けると、継続就業率上昇のほぼ全てを制度運用効果で説明できます。企業はWLB制度を導入するだけでなく、従業者への周知や運用の工夫があって初めて女性就業率の上昇につなげることができるのです。

2016年8月24日 日本経済新聞「やさしい経済学―女性の活躍と経済効果」に掲載

2016年9月7日掲載

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