熊本地震など、なぜ地震が相次ぐのか?熱エネルギーが地震を起こすという「熱移送説」とは

講演内容引用禁止

開催日 2017年4月27日
スピーカー 角田 史雄 (埼玉大学名誉教授)
モデレータ 藤 和彦 (RIETI上席研究員)
開催案内/講演概要

MRIは医療に革命を起こした。その技術を地球に応用したMT(マントルトモグラフィ)画像では、地球の真ん中から高温部が環太平洋へ伸びている。ここを熱エネルギーの移送路と考えると、日本を含む環太平洋火山・地震帯での噴火や地震の発生や起こり方の「癖」がよく分かる。講演では、火山・地震活動の移動(ピナツボの大噴火から熊本地震、伊豆火山列における青ヶ島―箱根など)、首都圏で三原火山の噴火と北東京湾の被害地震が約30年おきに発生などの問題を解説し、首都圏で起こりうる地震の可能性にも触れながら、地震発生メカニズムの理論「熱移送説」を紹介する。

議事録

熊本地震の真相

角田史雄写真私は、地震の発生は熱エネルギーによるものだと想定しています。地球表面の熱移送の状況は、医療で使われているMRIを応用したマントルトモグラフィ(MT)の技術によって明らかになりつつあります。

熊本地震の発生メカニズムを探っていくと、前兆として1991年に起きたフィリピンのピナツボ噴火が挙げられます。この噴火以降、大きな火山噴火と地震の活動域がペアになって北へと向かっています。ピナツボ噴火の直前にはピナツボからやや南の地下640kmの深さでマグニチュード7.9の大きな地震があり、ピナツボ噴火はこの地震を起こしたエネルギーが移送されたものと考えられます。熱が移送されて噴火を起こし、温められた岩石が膨れて割れて地震が起こるという形で、地震には熱が関与しているのです。

熊本地震本震の3カ月前、気象庁は口永良部火山の噴火以後、九州の阿蘇山南麓にある活断層がずれたと発表しました。この一連の動きが熊本地震の予兆といえます。活断層が動いた後、連続して地震が起きましたが、2度目の方がエネルギーが大きかったのです。これは中越地震も全く同じでした。

これまでは、地震で岩盤が割れるとそこでエネルギーが開放されて終わりというのが常識でした。そうであれば、1度岩盤が割れるとその分エネルギーが減っているはずなので、2度目の地震の方がエネルギーが大きいということはあり得ません。ところが、実際には2度目の方が大きかったわけで、急速にエネルギー(熱)を補充したと考えられます。

熊本で熱が地下にたまったのは、雲仙から別府にかけて阿蘇山や九重山など3つの活火山がほぼ一列にあり、これが地下の深い断層に絡んでいるためと考えられます。雲仙と島原の火山性の盛り上がりで割れた所に熱がたまり、火山の割れ目沿いにマグマを出していました。地下に1000℃程度のマグマが集中する仕組みがずっと前からあって、それによって地震が起こったのです。

雲仙の地震も熊本と同じ特徴を持っています。たとえば2014年8月に、断層が延びるという予兆があって、続いて阿蘇山が噴火し、2番目、3番目の大きな地震が数カ月の短い間に起こりました。

プレートのどちらかが押したという考え方を取るなら、地震のエネルギーを1回で使い果たすはずであり、噴火と連動して地震が続いたということは力学的なメカニズムでは考えにくい現象です。

熱移送で見る地震活動

環太平洋における火山噴火と地震活動を見ると、1950〜1965年と1990〜2015年の間に、同時多発的な噴火と地震が起こっています。こうした噴火と地震の同時多発性と周期性は、地震発生のメカニズムとして考えられているプレートテクトニクス(PT)説では説明できません。

プレートは年6〜8cmの移動速度でアメリカから日本に向かって西に延びると考えられていて、プレートが生まれるのはアメリカに近い東太平洋海溝であり、日本列島側で沈み込みます。しかし、地下3000kmの深部から熱が上がってくる場所は、全く別のトンガやフィリピン、ニューギニアなどです。東太平洋海溝では熱が全く上がってこず、南太平洋の方が多いのです。

PT説ではプレートが沈み込む側で大地震が起こると考えられていますが、それならプレートが生まれる側では力の加わりようがないので地震が起こらないはずです。しかし、すでに紹介したように、両方で同時に起こっているという特徴が見られます。

また、地震活動の周期性も明らかになっています。東京圏の地震エネルギーの状況を見ると、平均25〜30年でピークが訪れており、このペースで巨大な被害地震が起きています。

熱移送説を考える上で参考になるのは、1965年に長野で起きた松代群発地震です。東大の松澤武雄先生が1966年に「熱機関説」を提唱し、松代地震における地震各段階の熱エネルギーの使われ方を計算して、地震発生のメカニズムを明らかにしました。

そのベースには熱移送があります。松代地震では、周辺の活火山から送り込まれた熱によって膨張した岩盤が割れ、地表近くまで割れ目が移り、群発地震が発生しました。温度上昇のピーク時には発光現象がありましたが、これは熱がなければ起こりません。松澤先生の熱機関説は、松代群発地震で具現化されており、これ以降、群発地震は火山性であるとする考え方が定着しました。

MT法の基礎

MT法は、1986年にウッドハウスとジオンスキーという2人のアメリカ人が発表した技術で、MRIによって地球内部を映像化します。地球内部を30万個の立方体に区切り、どこのブロックにどのようなスピードの波が通ったかを2〜3回繰り返し測定して、スーパーコンピュータに解析させることで、モデル地震波と実際に通った波との差を出します。

そこから、地下3000kmの地球の外核から約6000℃の熱源が出ていて、太平洋に向かって幅1000kmぐらいのスーパープルームという熱の流れのゾーンが真っすぐ延びており、太平洋の地下1000kmぐらいまでは低温の所はほとんどなく、中低温の所ばかりであることが分かりました。

つまり、太平洋プレートは地震の発生には関係がないことになります。このMT法による熱移送の解析によって、PTで説明される内容が画像化されていないことが明らかにされたのです。

スーパープルームは、アフリカと南太平洋にしかなく、環太平洋の東南アジアから日本まで、地下200〜300kmから地面までの間はずっと高温です。それで私は、熊本地震のように、熱をベースにして地震と火山の2つの活動が移動していると考えました。

南太平洋の熱の湧き出し口から、3本の熱移送路が出てきます。これを考えたのは退職の2年前で、このときに東日本大震災の3倍くらいの大きさの巨大地震がインドネシアのスマトラ島でありました。この地震は、中国・四川にも関係するかもしれないと言っていたら、不幸にしてそれが当たってしまいました。

東京には、マリアナの火山列島から伊豆に続く熱移送ルートがあるため火山・地震が集中していて、高温帯ではないハワイではほとんど地震がないこととも整合します。

北東京湾被害地震は起きるのか

このように見ると、東京は大丈夫なのかということになります。

最近、青ヶ島という火山島の南にある西之島の活動が活発になって、島が増えるかもしれないというニュースがありました。海上保安庁では月1回、青ヶ島周辺の海水を空から観測していて、海底火山が噴火すると海面に茶色の水が浮くのをチェックしています。

最初に青ヶ島で噴火があった後、2013年に箱根の大涌谷で噴火警戒レベル1の蒸気が噴出する比較的弱い噴火がありました。そしてレベル2では、箱根でケーブルカーが全てストップしました。そのとき青ヶ島では、これより大きい火山活動が起こっています。そして、最後のレベル1の上記噴出が終わると、火山活動が始まる前と同じように再び静穏期に入りました。

青ヶ島について詳しく見てみると、2010年8月から2012年7月までは全く変化がありませんが、2012年8月に海水が濁り、活動期に入りました。その後、2013年1月から2014年5月に箱根で地震が急増し、山体が膨張して、大涌谷から噴煙がどんどん上がりました。

青ヶ島・箱根間は320kmあり、移送期間は大体20カ月ですから、移動平均速度は16km/月になります。この値が3回の噴火とも全く変わっていないのです。つまり、熱エネルギーが地震と火山の両方を引き起こす活動が、16km/月の速度で北上していると考えたわけです。

2010年は、東京における地震エネルギーが多かったようです。周期的なデータを見ると、非常に不思議な癖があります。必ず三原火山の噴火と絡みながら東京湾北西部の千葉で地震が起きているのです。

噴火があると、その1年後を中心に、東京湾で地震が発生しています。その周期が約30年です。1986年の三原山の大噴火では、1万人が避難しました。その地震が起こった1年後に千葉県東方沖地震が起こりました。その千葉県東方沖地震から、今年で約30年になります。

実は、GPS調査によると、大島の山体は1991年から膨らみ続けています。30年たった現在も、そのレベルはずっと変わっていません。これは、三原火山で熱が満杯状態であることを示しています。そうすると、30年後の今、地震が起こっても不思議はないでしょう。これが膨らみ続けている間は、地震はあまりありません。そうではない所で地震がたくさん起こり始めています。2017年が1つのターニングポイントと想定しています。

伊豆の火山列は、南北に真っすぐであり、長さは1700kmあります。もし直線ルートで地下でエネルギーを運び続けると、30年間で伊豆半島の北から箱根まで、場合によっては富士まで到達します。

過去にも必ず、熱膨張から30年ほどたってマグニチュード6.0〜7.0程度の地震が伊豆半島を中心に起こっています。熱移送が等速だとすると、2017年は火山噴火と地震の両方が起こるかもしれません。青ヶ島から箱根への移動速度を計算すると、およそいつ頃かが推定できます。東京オリンピックまでの間は注意しながら発表を見守りたいと思います。

モデレータ:
外核から放出された熱は南太平洋、アフリカのスーパープルームを通って地球表層部に移送されます。南太平洋へ出てきた熱は、主にアジア側の3つの環太平洋沿いの熱移送路で運ばれます。1つ目はオーストラリア東側のタヒチから噴出し、インドネシアに行って、ミャンマーに上り、中国に向かうルート、2つ目はインドネシアからフィリピンに北上し、台湾に行って九州・西日本に向かうルートです。それから、3つ目は日本の首都圏と関係するルートで、フィリピンから日本海溝経由で首都圏につながり、マリアナ海溝に抜けます。

この熱の流れは、先生のこれまでの研究では、30〜50年周期で強い波が現れ、最近はどうも強い波が来ていると考えられます。小笠原から首都圏への移動速度は16km/月ですから、年間200km北上していることになります。西之島で非常に大きな噴火が起き、さらに噴火活動が続いていますから、西之島と首都圏の距離が1000kmとして年200kmということは、5年で熱が首都圏に来てもおかしくはありません。

われわれはその予兆として何を気にしていればいいかというと、2017年後半から2022年にかけて伊豆大島で噴火が起きるか、伊豆半島付近でマグニチュード6クラスの地震が起こることです。さらに、西之島のエネルギー本体が到達するのが2020年以降なので、2017年から2022年にかけて、北埼玉辺りで直下型地震が起こるかもしれないというのが先生の見立てです。

先生は、「熊本地震の発生原因は断層が動いたからだ」という報道を見て、間違いではないかと怒っていました。そのことについて、一言だけコメントを頂ければと思います。

角田:
断層についても、かなりいろいろな見方があります。われわれは、地下を掘って「断層の根」を確認します。ロシアが一番深くて地下12kmまで掘り、アメリカは9km、日本は6kmぐらいしか掘れません。日本は熱が高いので、ボーリングの歯が空回りしてしまうからです。

それらの結果を総合的に検討すると、掘って確かめられる活断層の深さは立川断層の場合でも1〜2kmのオーダーです。また、断層とは、今では動いていていない地層の切れ目の跡であり、確認できる一番深いものでも地下30km程度です。私は、日本でこれに相当するのは利根川直下と中央構造線ぐらいしかないと考えています。

地震は5〜10kmよりも深い所で起こるので、活断層がそこまで深い所にないのに、なぜ地震を起こせるのかということになります。なので、こうした検討を行わないで「活断層が地震を起こす」と断定的に認識するのは誤りだと考えています。

ただし、利根川は地下で動いている可能性があります。そういう所も含めて活断層というなら話は別です。大体は地表を観察した結果を活断層と称しているので、そういう活断層が地震を起こすことはほとんどないでしょう。

東京都が立川断層を一生懸命調べていますが、あの断層に沿った地震は歴史上1件しかありません。活断層は割けて動いているので、よく揺れるのです。なので、強震動を伴う割れ目だという見方が正しいと思います。従って原発を含めた断層は、「揺れやすい」断層と見ることができます。

阪神・淡路大震災の原因も、和歌山の火山性の群発地震がベースでした。10年前から続いていたこの地震活動とともに和歌山は隆起しました。逆に大阪・神戸側は沈降した結果、明石海峡の直下で、岩層がズリ切れたのです。そのため、断層の所は激しく揺れました。アメリカのデータでは、神戸で本震が起こる2日前に、海峡の真下地下300kmで深発地震が起きていました。しかし、そういう順序はあまりチェックされていません。断層と地震の見方は、ワンクッション置かなければならないと考えています。

モデレータ:
富士山は、近々噴火しますか。

角田:
噴火するともしないとも言い難いです。富士山の誕生は60万年前ですが、その40万年ほど前から丹沢の山が急速に高くなりました。富士山の頂上の真下辺りの深い所に、山梨県から箱根や大島をつなぐ断層があり、これに沿って熱が上がってきて富士火山が噴火するのですが、実際に起こったのは最近では宝永年間しかありません。

宝永の大地震では、西日本全体が揺れ、その最東端に富士山があります。そして、こうした地下のしくみに在った状況下で、九州から関東甲信越の半分以上の活火山が一斉に噴火したという記録があります。それは、地下のマグマが活発であったことと、熱、つまり地震エネルギーレベルが高かったことを示しています。こうした状況であった場合、大きな地震が西日本で起きる可能性はあります。

太平洋側の大きな地震は大体、若狭湾と伊勢湾をつなぐゾーンで途切れます。南は東南海トラフといわれる死んだ海溝で途切れます。東南海トラフは動いていないのではなく、熱で動かされる場合のブロックの端なので、そこに巨大地震が集中する癖があります。それ以外の所では起こらないでしょう。

富士山は、場合によっては非常に大きなイベントを起こしますが、火山の歴史が非常に古いので、今は閉じている割れ目が非常に多いです。ただ、気象庁から連続して、深部で溶融した波長の長い低周波があったという報告があった場合は注意した方がいいです。マグマの動きで、特殊な波が出ます。今はないと思いますが、そういう報告に注意すればいいと思います。

モデレータ:
今日お集まりの方が生きている間は、富士山の噴火はないというのが先生の見立てだと理解しました。

質疑応答

Q:

昨年4月14日と16日に熊本で震度7クラスの地震が発生し、半年後の10月8日に阿蘇山が噴火し、21日に鳥取で地震がありました。この連動をどのように捉えればいいのでしょうか。

A:

熱は地球の外核から年がら年中、放射されています。それから、強弱があります。磁力線のように熱エネルギーを線に例えると、エネルギー線の数が多い所は熱が多いことになります。

熊本地震の場合、先にピナツボ火山の噴火があり、熱エネルギー線の量が非常に多かったのです。それは今でも続いていて、そのエネルギー線は九州を通って新潟まで流れます。

鳥取地震の場合は、大山は火山活動を休んでいますが、地下6kmぐらいまでは数百℃の熱がたまっています。島根か鳥取で起こったのは、熱移送があって、そこでいったん熱がたまったからでしょう。通り過ぎたはずの九州でなぜ再び地震が起こったかというと、阿蘇山の噴火規模が小さかったために、小さな噴火が何回も起こるような熱エネルギー線が来ていたからだといえます。

Q:

熱移送のルートで、三原から伊豆、北埼玉という話がありましたが、東京都心で起こることはあまり考えられないのでしょうか。

A:

熱移送のルートには2つの層があり、1つは150〜200kmの深い所、もう1つは60kmより浅い所です。浅い所の方がエネルギー線を運ぶ量は大きいですが、地下の温かい部分が膨らんだり縮んだりしている場合があり、縮んだ所は熱エネルギーがたまりやすくなっています。

箱根と富士山という古い火山が残っていて、大島にも火山があります。そこにたまった場合は30kmより浅く、マグニチュード7.0クラスの地震が起きます。伊豆の北端で地震が比較的多いのは、そういう場所です。

そうして熱エネルギーがたまった場合、水準点を測量すると西側が上がって、東側(東京側)が下がります。それが大きいと、東京で1年後ぐらいに地震が起こるという癖があります。市原、船橋、千葉では、江戸時代からマグニチュード6.0以上の被害地震が最も多く起きています。

神戸では高速道路が崩壊しましたが、東京には地下60m以内の超軟弱地盤で基礎が届いておらず、交差している道路群があり、その橋脚がものすごく長いです。その場合の揺れの増幅は大きいでしょう。3層構造の道路で途中にひび割れがたくさんあると、1カ所壊れれば連動して壊れると思います。

神戸の場合は、地下20〜30mにある、1万〜3万年前までの古い谷に積もった堆積物の底が滑り、そこにあった橋脚が6本滑ったので、その上の道路が山側にゆっくり倒れました。これが液状化滑りという現象です。東京の被害パターンでは、そういうケースがあまり考えられていないのが問題です。

それから、ビルではひねりに対する蓄積疲労をほとんど計算していません。そういう動きが重なると、劣化します。壁や柱の劣化を加えないと、本当の被害は想定できません。そこは要注意だと思います。

モデレータ:

市原や船橋、埼玉県内であれば、川口や草加の地下50kmくらいで直下型地震が来るという想定です。

A:

綾瀬川断層がよく揺れるのです。あの断層の近くでは、地盤の硬軟を問わず、地震が起こった場所から最初に来た波が一気に来ます。東京湾北部の船橋辺りで起こった場合は、その断層に沿って来ます。関東地震の場合は、鴻巣までに被害集中地域があります。20秒から1分くらいは、断層に対して直角方向に揺れます。最初は断層に沿う形で来て、その後で最も長く揺れるのは直角方向です。

たとえば4階以上のビルの場合、建っている向きが断層と平行なのか、直角なのかで全く違います。10階建てのビルでは5〜6階以上の部分が非常に大きな影響を受け、下の部分の1.5倍程度の揺れになります。断層に平行な建物の場合、北東・南西方向に大きく揺れるので、室内の家具に注意が必要です。直角方向はそんなに揺れません。

一軒家の場合は、直角に建っている家は大きく揺すられて、屋根がねじれて瓦が落ちます。こういった被害パターンに注意すればいいと思います。

Q:

首都圏の地震について具体的な説明がありましたが、報道では東海・東南海・南海地震といった連動型地震もずっと心配されています。過去に3地域が連動したことがあったためみんな心配しているわけですが、今の考え方からすると、その心配自体は正しいのでしょうか。正しいとすれば、この考え方に立って、どのように見ておけばいいのでしょうか。

A:

東北で起こったときは方向が逆でしたが、関東の利根川で揺れが小さくなり、アルプスの手前の山梨県・静岡県辺りで少し上がります。名古屋や伊勢湾は、揺れはほとんど関係ありません。こうした事例から推察すると、揺れるブロックが存在するらしいのです。たとえば、名古屋・伊勢湾を境にして地殻の厚さが西側は10kmほど薄くなっています。西から移送された熱を想定すると、熱エネルギーも、若狭湾と伊勢湾の厚くなった所で、急に厚くなる東側の地殻のところで移送速度が落ちて、熱がたまってしまいます。三河地震や濃尾地震はそこで起こりました。

だから、九州でほとんどの火山が活動し、白山と富士山も噴火すれば、濃尾地震、1944年の東南海地震、1946年の南海地震の再来の可能性はあると考えた方がいいでしょう。中規模のものは、日本海の島根から鳥取、福井沖で移動します。西日本全体を包むようなブロックになっています。

モデレータ:

富士山が噴火するときのような、ものすごく大きな熱エネルギーが流れない限りは大きな地震は起きないということなので、私どもが生きている間ぐらいは大丈夫ではないかと、私は勝手に思っています。

この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。