シリアの紛争はいかに終焉するのか―中東における新たなウェストファリア秩序を求めて

開催日 2016年5月10日
スピーカー 松本 太 (駐シリア臨時代理大使)
モデレータ 池山 成俊 (経済産業省通商政策局中東アフリカ課長)
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シリアの紛争はこの3月で5年目を迎えています。紛争はすでに2250万人のシリアの人口の過半数以上を内外に離散させ、その死者数は50万人を超えるとも言われています。シリアに平和と安定が戻らなければ、ダーイシュ(いわゆる「イスラム国」)の問題にも終わりはありません。国際テロの問題も国際社会に拡がり続けるでしょう。はたして国際社会は、シリアの紛争を終わらせることができるでしょうか。今回の講演では、ジュネーブでのシリア政治プロセスに直接関与している松本太駐シリア臨時代理大使が、シリアの現在の紛争を分析した上で、中東の将来像を分かりやすく描き出します。

議事録

シリアの今と認識の座標

松本太写真シリア紛争はいつ、どのように終焉するのか分からない状況にありますが、本質的な問題は終焉の仕方です。私は、その答えはウェストファリア秩序以外になく、そこまでの過程は相当複雑で、200年続いた欧州の宗教改革と同等以上に長い流血の時代が続くかもしれないと考えています。

5年にわたる紛争で最大50万人が死亡したといわれ、第2次世界大戦の終わりの1945年の日本の状況と変わらない状況です。ある統計によれば、2011年3月以降、シリアの死者・負傷者数は全人口の11.5%を占める230万人に上り、600万人以上が国外に逃れ、自宅から離散した国民は全人口の約半数に当たる1200万人を超えるとされています。2010年に75.9歳だった平均寿命は2015年には55.7歳まで下がり、経済規模は55%も収縮して、国民の80%以上が貧困線以下の生活を強いられるなど、国全体が吹っ飛ぶほどの状況にあります。

シリアで起きていることは恐らく3つぐらいあります。1つ目は、アラブの春以降生じた体制側と反体制側の衝突です。2012年の春以降、非常に激しくなって今に至っています。

2つ目は、シリア国内の民族・宗派間の潜在的な対立です。亀裂が深まる中、反アサドであるトルコ、サウジアラビア、カタールなどが介入し、反体制派に味方をして武器供与や財政支援などを行った結果、シリア国内の対立が、地域諸国による代理戦争的な様相を呈しています。

3つ目は、米露間の非常にグローバルな対峙、あるいはシリアにおける一定の戦略的協力です。これら3つの層が入り混じった形で動いているのがシリアの現状です。

シリアは、アラビア語でもともと「シャーム」といい、今のイスラエルやヨルダン、イラクの一部、あるいはトルコの一部を含めた地域全体を指していました。20世紀に入り、サイクス・ピコ協定によって分割される過程で、シリアという近代の国民国家が生まれました。そのプロセス自体に、今に至るいろいろな問題の萌芽が含まれていると考えてよいと思います。

シリアは中東地域の1つの重心であり、歴史的、文化的にも社会・経済・政治構造の中心の1つです。新しいイスラムの体制はダマスカスにウマイヤ朝が開かれたところから始まっています。イスラムの発展という観点から見ても、シリアなくして中東全体の問題は語れません。つまり、現下の中東問題の解決は、その核心にあるシリア問題の解決なくしてあり得ないということです。

われわれの不安の根源と秩序の崩壊

5年ほど前、アラブの春が起きて中東問題が非常に分かりにくくなった頃、中東問題の本質を大きな観点から捉えなおすべく、私はエルサレムに行きイスラエル人といろいろな話をしたことがあります。その際、1人の碩学は、「これから国境線が引きなおされるだろう。これは国際秩序の本格的な変質を意味する重大事態だ。したがって、これから起きることをよく見ていなければならない」と予言しました。5年たって、まさにそのような事態が本格的に起こりつつあります。

この事態を象徴しているのが、シリアとヨルダンの国境をめぐる状況です。現在、約6万人のシリア難民が国境付近に滞留していて、彼らはヨルダン側に入ることができません。彼らはダーイッシュ(IS)の支配下にあるラッカやデールゾールなど、シリア北部から砂漠地帯を通ってヨルダン国境まで南下してきた人々です。彼らの中には、ダーイッシュのメンバーが間違いなくいるでしょう。ヨルダンはこれを警戒して入国させないのです。

国際法に厳密に従えば、恐らく彼らは既にヨルダン側に入っています。ただ、ヨルダン政府は、彼らはヨルダンが敷いた軍事境界線よりもヨルダン側に入っていないので、シリア側にいるという立場を崩していません。したがって、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の定義でいえば、彼らはまだ難民ではなく、国内避難民です。セキュリティ上危ないのでUNHCRなどが緊急支援物資をチェックポイントを通じて配給していますが、難民登録もまだ十全に進んでいない状況です。

つまり、国境線と軍事境界線の間のノーマンズランド(無人地帯)に6万人もの人々がいるということです。同様に、シリアとトルコの国境線にも約10万人の国内避難民がいて、トルコが国境を閉じているため、トルコに入れない状況が生じています。このような人々をどう位置付ければよいのか。こうした状況は、現在の国際秩序をめぐる問題を象徴しています。

今、国際秩序の底が抜けかけているのではないかというのが私の数年来の問題意識です。国際秩序の底が抜けるとどうなってしまうのか分からないというのが、われわれの不安の根源なのではないかと思っています。さらに、視界が不透明で、われわれの敵が誰なのかもよく分かりません。敵が分かればより鮮明に対処できますが、敵がよく分からないということも、恐らく我々の不安の根源にあるのではないかと思っています。

たとえば、シリアには、シリア政府軍も含め、いろいろな武装組織が点在しています。中でも比較的よく知られている、シリア反体制派の武装組織である自由シリア軍は、反体制派の中でも比較的セキュラー(世俗的)な組織といわれ、米国なども支援しているのですが、この自由シリア軍には54の組織が参画しています。特にイスラム主義の過激派組織は無数に乱立しており、彼ら同士も対立しています。

他方、体制側には、イランやイラクの民兵(ミリシャ)に加えて、レバノンのヒズボラがついています。これらに加えて、問題のダーイッシュが存在します。実はダーイッシュとシリア政府は必ずしも明確な対立関係になく、戦略的な協力関係にあるとも言われています。これは両者の存在によってシリア反体制派を挟めるからです。それは当初からの構図で、シリア政府は2011年の非常に早い段階で、刑務所にいた過激派をたくさん解放したといわれています。これがダーイッシュやヌスラ戦線などに行って、非常に戦略的な動きが続けられています。

こういう状況の中で、あらためて考えざるを得ないのがサイクス・ピコ協定です。サイクス・ピコ協定は1916年に英仏が中心となってつくった協定で、オスマントルコ帝国領の真ん中に線を引いて、英仏で分割したものです。まさに、この協定が、この地域における近代の国民国家システムの始まりです。これによって、ウェストファリア秩序が初めてもたらされ、シリアやトランスヨルダンといった人工国家がつくられる起点になりました。

同時に、現在のトルコが、1923年のローザンヌ条約をもってオスマントルコ帝国から国民国家として現出するわけですが、この一連のウェストファリア秩序を中東に「移植」するプロセスが極めて恣意的に行われたことが、現在までの中東の国家システムの正当性を相当侵食している1つの大きな要因であるわけです。だからこそ、イスラム主義者はサイクス・ピコに強い嫌悪感を抱いていて、国境を変えることを1つの目標に掲げています。しかし、彼らが、果たして本当に国境線を変えられるのかは、依然としてわかりません。これが次の大きな課題です。

唯一のオプション:国民国家の再構築とウェストファリア秩序の形成

そもそも国際秩序は近代欧州の秩序をベースとしており、1648年のウェストファリア条約以降、数百年をかけて、元来あった宗教的秩序を、国民国家を単位とする秩序に置き換えるという長いプロセスを経ながら、欧州、アジア、中東に広まっていきました。

国民国家を単位とする秩序がなければ、国際秩序は大きな危機にさらされます。国民国家を構成するには、国家内の国民レベルの社会契約が必要ですが、中東においては残念ながらこの100年間それが有効に成り立っておらず、宗派間対立が続くシリアやイラクで社会契約を成立させることができるかどうかが最大の挑戦なのです。シリアの現状を見ると容易なことではありませんが、この秩序に代わり得る国際秩序は今のところ見当たりません。

実は今、中東においても国民国家を強くしていこうという動きが起きています。トルコは近代国家としてトルコ自身を強化する方向で動いていますし、サウジアラビアでさえ同様です。ただ、こうした地域諸国は内部にさまざまな矛盾をはらんでいます。近代国家としての歩みを強化しようとしているにもかかわらず、サウジアラビアにおいてはワッハービズムが、現在のトルコ政権はムスリム同胞団に極めて近い思想で、いずれも寄って立つところの正当性がイスラムにあるのです。

今、トルコやサウジアラビアにおいては、こうした矛盾が顕在化しつつあり、それがシリア、イラクにまで広がっていることが、今の中東地域における最大の課題です。これらの国々がその束縛から逃れられるかどうかは、いまだによく分かりません。

ですから、サイクス・ピコの書き換えは起こり得ますが、ウェストファリア秩序はその代替がない以上、書き換え困難であり、いずれにせよ、中東においても最終的には国民国家システムに基づくウェストファリア秩序の再構築が行われていくというのが私の長期的な仮説です。(注:詳細は最近出版された次の拙著を御参考ください。『世界史の逆襲 ウェストファリア・華夷秩序・ダーイシュ』講談社、2月24日)

交渉によって紛争は終焉するか

シリアをめぐる現在の政治状況に目を向けると、2月からジュネーブ交渉が始まり、3月に初回の間接交渉、4月に事実上2度目の間接交渉が行われました。これはロシアのシリア介入が大きなきっかけとなって、米露間の戦略的な対話が進んだことが最大の要因です。これにより、昨年11月初めにウイーンで米露を共催国として国際シリア支援グループ(ISSG)の会合が開催され、12月末に国連安保理決議第2254号が採択されました。ジュネーブ交渉はこれを受けて始まりました。

ジュネーブ交渉の最も重要なミッションは、敵対行為の停止、いわゆる停戦です。もう1つは、シリアの反体制派の人々がいる被包囲地域などへの人道支援を着実に行うことです。日本も参加してこれらの実現を目指しているところです。

しかし、実態としては、現在、ロシアの空爆支援によってシリア政府軍がいろいろな局面で優位に立ちつつあり、反体制派は劣勢状態にあります。このような中で、各地において戦火が必ずしも下火になっていないため、反体制派は非常に態度を硬化させていて、この4月のジュネーブ交渉では、停戦が続けられない、あるいは人道支援が届かないのであれば、われわれはジュネーブ交渉には戻らないと明言しました。それを受けて現在、米露を中心にあらためて停戦を維持し、人道支援を進めるための非常にダイナミックな動きが展開されているところです。

ジュネーブ交渉では今後、国連安保理決議に従って、政治的移行、憲法、選挙の3つについて議論が進められます。政治的なタイムテーブルでは、米大統領が事実上レームダック化する前の8月末までの交渉妥結を目標としていますが、実際にジュネーブに行っていろいろな人と話をした感触では、非常に暗く長いトンネルが続いており、出口は全く見えない状況にあると言わざるを得ません。

問題の核心は、1つは圧政を敷いてきたアサド体制を真に変革し得るかどうかです。これは治安情報機関を中心に、少数派であるアラウィー派体制をどう変革できるかにかかっていますが、非常に不透明です。また、地域諸国は、当然ながらアサドは退陣すべきとの立場を崩していないので、彼らが引き続き武装派に対する武力支援などを続ければ、なかなかシリア国内の紛争は治まらず、同時に宗派間対立がますます深まっていくという難しさがあります。さらには、地域諸国間の覇権争いも暗い影を落としています。特にイランとサウジアラビアは非常に機微な関係にあり、シリアをめぐる対峙が和らぐことは当面期待できません。

また、主要大国が本当にシリア問題に介入するのかどうか。モスクワもワシントンも、当然ながら今でも十分に介入していると言うでしょうが、現状のダイナミズムを戦略的に変えるほどの大規模な介入があり得るかというと、疑問視せざるを得ません。現状が続く限り、ローカルのアクターは当然ながら主要大国の足元を見るでしょうから、戦渦は治まらない可能性も大いにあると思います。

質疑応答

Q:

体制派と反体制派はアサド大統領の即時退陣をめぐって折り合いがつかない状況が続いていますが、8月末までの交渉妥結は現実的にあり得るのでしょうか。

A:

反体制派の立場は、アサド抜きで移行政府組織(TGB)をつくるというものです。また、カイロ・モスクワ会合グループも、基本的にはアサド抜きでの暫定政権を想定しています。ただ、交渉の余地はあるという比較的柔軟な立場をとっており、反体制派の中にも若干の差異はあります。

他方、シリア政府代表団が求めているのは「拡大政府」、あるいは「国民統一政府」です。当然、アサド大統領の存続については「これを交渉するマンデートはない」という言い方をしていて、現状、双方の立場は非常に離れていますが、交渉に入ればある程度の妥協はあり得るというのが国連関係者の見方です。

そのために今、関係各派と国連のデミストゥラ特使がいろいろなペーパーのやりとりを行って、このギャップを埋めようとしているのですが、そのような局面で、反体制派の主要組織である高等交渉委員会(HNC)がジュネーブ交渉への参画を一時延期する決定をし、協議に入れない状況にあるので、交渉は入り口で止まっています。

HNCの立場は、非常に強硬です。なぜなら、アサドが存続している状況下で、暫定政権に入れば、反体制派の1人1人が抹殺されるのではないか、という恐怖があるからです。

実際に、これまでHNCの関係者は、かつて何人もが拘束されて拷問を受けています。人によっては数十年にわたり投獄されて、相当悲惨な経験をしています。刑務所に1日入れられるくらいならば、戦闘を続け死んだ方がましだとみんな言っています。彼らの恐怖心が消えない以上、妥協を望むことは本当に困難です。

他方、戦局を見ると、アサド政府軍が有利にこまを進めている状況なので、アサド大統領側が自ら退陣表明することも期待できません。さらに、ロシアのプーチン大統領がアサド大統領に対して退陣を求めることも恐らくないでしょう。諸処の状況を考えるとほとんど出口はないというのが、現時点での私の率直な感想です。

Q:

ダーイッシュ(IS)は今後どうなっていくのでしょうか。

A:

ダーイッシュに壊滅的な打撃を与えることは、ドローンを使って空爆しても、インサイダー情報があっても、地上軍を派遣しない限り限界があると米軍関係者も言っています。コアリションを含め、早ければ秋には侵攻したいという意図は持っているでしょうが、シナリオどおり進むかどうかはよく分からない状況です。

いずれにせよ、誰かにとってダーイッシュそのものが存在として有益である以上、ダーイッシュの問題は当面残ると思います。今、欧州などで国際テロが広がっていますが、この状況は早晩変わることはないでしょう。

モデレータ:

シリアの中で、クルドは今後どういう位置付けになっていくのでしょうか。

A:

クルドの問題とダーイッシュの問題は、実はコインの裏表関係にあります。すなわち、ダーイッシュが縮小すれば、クルドが拡大します。したがって、クルドの独立を防ぎたいと考える人たちは、ダーイッシュの存在にメリットを見いだすわけです。

他方、クルドの独立に懸ける意思は執拗です。しかし、イラクのクルディスタンとは異なり、シリアのクルドについて言えば、地理的に離散しているため自治や、いわんや独立はそれほど容易ではありません。

さらに、シリア北部を武力で治めているのは民主統一党(PYD)・人民防衛隊(YPG)ですが、彼らが独立に向けて舵を切ったとしても、ダーイシュ攻略が終われば、彼らの有用性はなくなり、場合によっては、シリア政府軍に蹴散らされるおそれもあります。

ですから、今のシリアのクルド、特にPYD/YPGは非常に危険な政治ゲームを進めているというのが私の率直な見方です。

Q:

「ローカル、リージョナル、グローバル」の3層でシリア情勢を見ていくのは大変難しいことですが、3層をどう組み合わせて考えるのか、大使ならではの感触はありますか。

A:

比較的な簡単なのはグローバルの話で、シリア問題における米露の協調はわれわれが想像する以上に存在します。グローバルな米露対立の中で、協調が唯一具体的に進んでいるのはシリア問題かもしれません。

だからこそ、ロシア側はシリアにおける米国との協力を非常に高く評価していて、ラブロフ外相とケリー国務長官の関係は非常に良くなっています。

さらに、リージョナルレベルの見方として分かりやすい見方は、基本的にこれは現代の「露土戦争」であるということです。露土戦争が生じれば、現在の米露間の冷戦対峙を考えると、米国はトルコに味方せざるを得ません。

一方、ローカルに目線を落とすと、物語が複雑化します。なぜなら、ローカルなゲームは、まさにセキュラーであるシリア政権と、多くがイスラム主義を標榜する反体制派の間の戦いであり、結果として欧米諸国がイスラム主義の人々を応援する形になってしまうからです。当然、アサド政権はそこを弱点だと思っているので、「イスラム主義的なやつらはみんなテロリストだ」と言い、それにロシアが乗ってきているという構造です。

ですから、グローバルなレベルとリージョナルなレベルの一定のアライアンスが、ローカルなレベルにおける問題の複雑性につながっていると考えてもいいのかもしれません。

Q:

ローカルなイスラム主義の問題が、ウェストファリア秩序の中でどう昇華されていくのでしょうか。

A:

欧州における宗教改革と、現在眼前で起きている中東の宗教改革もどきの現下のプロセスの違いは、キリスト教におけるプロテスタント運動と、現在起きているイスラムにおける改革運動の方向性を比較することで見えてくると思います。

現時点では、イスラムにおける改革運動は、プロテスタント運動ほどの柔軟性はなく、より復古的な方向に向かっているので、相当ベクトルが違うと直感的に思います。

アサド政権と反体制派の対立は、圧政を行う体制とこれに反発する反対世という物語とは別に、別の角度から見るとイスラム主義をめぐる戦いと見做すこともできます。

恐らく今後何十年もの間続くだろうと思うと暗い気持ちになりますが、現代は16〜17世紀と違い、コミュニケーションが飛び交う世界ですから、意外にそのプロセスが速く回転するという楽観論もあって、相当早く終わる可能性もあります。ここは期待を持って語るしかないところです。

同時に、イスラム主義勢力間における戦いも相当過激さを増しています。過激派同士で戦ってくれて、早く自滅してくれるのであれば御の字ですが、そうでないならば最後まで戦わざるを得ません。自滅を待っていてもなかなか自滅してくれないので、相当きつい戦いになると思います。イスラム主義を根絶しない限り、近代的な意味での国家における社会契約は成り立たないと思いますので、相当深刻です。

Q:

中東問題と米露関係において、安倍首相はどういう役割を果たすのでしょうか。

A:

中東問題に関して日本が果たせる役割というと難しいところではありますが、日本とトルコの良好な関係、安倍首相とプーチン大統領の関係などは非常に有益であり、現代の「露土戦争」を仲介できる役者は何人もいませんから、そういう観点で日本の役割があるかもしれません。

シリア問題に関しては、難民支援だけで問題の本質は片付かないので、シリアの政治プロセスにどう関与し、日本が知的貢献をできるかが最大の課題だと思います。この点で、地域諸国と日本の良好な関係、日露間の友好な関係などを組み合わせて利用することが重要だと思います。

この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。