中小企業の海外事業再編動向 ―事例集をもとに―

開催日 2015年7月29日
スピーカー 本澤 順子 (元経済産業省中小企業庁創業・新事業促進課海外展開支援室課長補佐(海外展開企画担当)/大江橋法律事務所弁護士)
コメンテータ 丹下 英明 (日本政策金融公庫総合研究所主席研究員)
モデレータ 後藤 康雄 (RIETI上席研究員)
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開催案内/講演概要

新興国の経済発展に伴う内需拡大を契機に、大企業ばかりでなく、中小企業の海外展開(直接投資)も加速傾向にある一方で、既に海外で事業活動を行っている中小企業においては、現地での経営環境の変化等に対応するため、進出先での事業再編(事業の縮小・撤退、第三国への移転等)に取り組むケースも増加している。

中小企業庁海外展開支援室では、本年6月、「中小企業の海外事業再編事例集(事業の安定継続のために)」を公表した。同書では、事業再編に取り組んだ現地日系企業の事例(28事例)を収集し、併せて、海外事業の再編を行うに際して留意すべき事項、海外における事業再編動向を取りまとめた成果が発表されている。今回は、この事例集をもとに、中小企業の海外事業再編の最新の動向について、政府統計やヒアリング調査の結果を紹介しながら概観する。

議事録

データにみる海外事業再編動向

本澤 順子写真中小企業庁海外展開支援室は、日本再興戦略に基づいて新たに1万社の海外展開支援を目指しています。一方、実際に海外展開している企業の中には、現地での環境の変化や文化・商慣習の違いに直面し、進出先での事業再編(事業の縮小・撤退、第3国への移転など)に取り組むケースも増加しています。

海外での事業再編は、多岐にわたる専門的な知識と情報を必要とし、その経験のない中小企業が自社単独で取り組むには大きな困難が伴う可能性もあります。少し話はそれるかもしれませんが、私は会社の倒産や事業再生を専門としていまして、倒産弁護士は「最後のジェネラリスト」と呼ばれ、専門化が進む弁護士業界にあって、とくに撤退・事業再編の分野は賃料、労務、税務、経営権など多岐にわたる問題を扱うのが特徴といえます。海外での事業再編・撤退という局面では、企業は、同じく、多岐にわたる問題をクリアしなければなりません。

海外展開支援室では、海外で事業活動を行う中で、さまざまな経営課題を克服するため事業再編に取り組んだ現地日系企業(親企業は日本中小企業)の事例(28事例)を収集し、とりまとめました。

経済産業省「海外事業活動基本調査」によると、中小企業の海外現地法人保有は増加傾向にあります。とくに製造業の海外進出が増えていますが、非製造業も2007年の19.0%から2012年には26.9%(2007年は19.0%)に伸びています。地域別では、中国とアジアが大きく伸び、北米や欧州でも増加傾向にあります。

「直接投資先(生産機能)として、現在最も重要な国・地域と今後最も重視する国・地域」をみると、生産機能・販売機能ともに、依然として中国が最も重要であり、今後も重要と考えている企業が多いことがわかります。タイ、ベトナム、インドネシアをはじめとするASEAN各国にも高い関心が寄せられ、増加傾向にあります。また、生産機能ではミャンマーが大きく伸びており、販売機能ではインドが注目されています。豊富な人口を背景に、インド国内の販売を狙っている企業も多いことが推察されます。

中小企業が海外に直接投資した際のポイントをみると、「現地の製品需要が旺盛または今後の需要が見込まれる」が55.5%ともっとも高く、進出国内での販売をねらっていることがわかります。一方で、「進出先近隣国で製品需要が旺盛または今後の拡大が見込まれる」と22.4%が回答していることから、進出国のみならず国境貿易をねらってワールドワイドに展開しようと考えている企業も見受けられます。「良質で安価な労働力が確保できる」と回答する企業も依然として存在しますが、25.2%と若干減少傾向にあります。労働力やコストが安いから行こうという考えでは、なかなかうまくいかないことが推察されます。

直接投資企業が直面している課題としては、「現地人員の確保・育成・管理」を挙げる中小企業の割合が高く、次いで「人件費の高騰」「採算性の維持・管理」が多くなっています。

地域別撤退企業数(大企業を含む)は、2008年9月にリーマンショックがあり、2009年以降に撤退企業は急激に増加しました。経済の回復に伴い徐々に減少はしているものの依然として多くの企業が撤退しており、とくに中国やASEANからの撤退が多い状況です。この理由としては、もともと中国やASEANへ進出する企業数が多いため、おのずと撤退数も多いと考えられます。「チャイナ・プラスワン」「タイ・プラスワン」といった動向を読み取ることも可能でしょう。

損保ジャパン日本興亜リスクマネジメント「中小企業の海外展開の実態把握にかかるアンケート調査」(2013年12月)によると、「直接投資先から撤退した経験がある」または「撤退を検討している」と回答する中小企業が計33%に上ることは、特筆すべきことだと思います。日本企業の廃業率が約4%であることを踏まえると、この2つの数字を単純に比較することはできませんが、海外へ行くと国内以上に特有の問題に直面していることがうかがわれます。海外に進出してみて、なかなかうまくいかないと感じている企業は3分の1を占めているのが現状といえます。

撤退を経験した国・地域では中国が42.3%ともっとも多く、北米も10.2%と少なくありません。海外進出あるいは撤退というと中国に注目することが多いわけですが、北米にも大きな問題が残っていることを忘れてはなりません。

海外事業再編に対応するための留意点

多くの事例をみて、会社が撤退を決断するにあたって、操業中もしくは進出前の段階から撤退という事態があり得ることを想定していれば、状況はこれほど悪化しなかったであろうという思いを強く持ちました。そこで事例集では、進出前、操業時、撤退時に分け、それぞれの留意点を考察しています。

まず海外への進出前の留意点としては、「進出の動機を明確にしよう」「パートナーは慎重に選ぼう」「環境規制の強化に備えよう」「国家紛争が発生することも」「万が一の撤退や移転を想定した事業計画を立てよう」「撤退や移転にかかる費用を確保しておこう」といったことが挙げられます。

海外展開支援事業には、F/S(実現可能性調査)支援、日弁連との提携による契約書をチェックする事業などの施策メニューが揃えられており、早い段階から中小機構やJETROをはじめ専門家に相談することを勧めています。また、「3年間赤字が続いたら4年目は撤退を検討する」などと、自社の実情に合った撤退基準をあらかじめ決めておき、撤退のための費用も確保しておくことが望ましいでしょう。

次に海外事業の運営上の留意点として、「現地での経営管理を徹底しよう」「現地従業員に組織の一員としての自覚を持たせよう」「頼れる相談相手を見つけ、現地でのネットワークを構築しよう」「人件費の高騰に備えよう」「技術者の転職問題に対処しよう」「海外現地の公務員などへの賄賂で逮捕されることも」といったことを指摘しています。

中小機構では、現地での操業に課題を抱え、困難を感じている企業に対して専門家がアドバイスする事業(事業再編戦略推進支援事業)を行っています。現地での運営上の問題は多く、帳簿を日本の親会社が把握していない例や、現地で何をやっているのかわからない、赤字の報告は上がってくるけれども理由がわからないといった状況が見受けられます。これは撤退に限った話ではないと思いますが、現地での経営管理は徹底すべきだと思います。また、日本の親会社での経理体制がしっかりしていれば、海外子会社の異常に気づくこともあるでしょう。

大企業を含め、倒産や撤退に至る企業の社長は頑張り屋の方が多いように感じます。もう少し親会社から資金を回せばうまくいくかもしれない、もう少し設備を変えればうまくいくかもしれないと、自分で頑張りすぎて違った方向へ進んでしまい、残念な結果になってしまったケースにも数多く出会ってきました。親会社の地元の金融機関、メインバンクに相談するという手段もあると思いますし、JETROでは海外展開支援プラットフォームという事業を行っていますので、そういった現地相談窓口へ早いうちに駆け込んでいただきたいと思います。

海外では、意外な事案で商業賄賂として刑事罰に処されることがあります。新興国だから袖の下を使っていい、あるいは談合してもいいなどと思っていると、逮捕されるケースこともあります。こうした賄賂問題によって現地で逮捕されれば、企業にとって致命的な問題に発展することも考えられます。新聞に載ることで、レピュテーション(評判)リスクも高まります。

最後に実際の事業再編時の留意点として、「スピード感をもって意思決定しよう」「撤退にかかる複数の選択肢を用意しておこう」「現地従業員への対応をしっかり行おう」「労務・税務問題が最大の課題となることも」「撤退後の商標権の取り扱いに注意を」といったことが挙げられますが、中小企業が単独で撤退を実行するのは難しいことです。そのため素早く意思決定をして、専門家に相談していただくことを強く勧めたいと思います。あるいは、専門家と相談しながら意思決定することも可能ですから、厳密にいえば「専門家に相談する」というスピーディな意思決定が求められるといってよいでしょう。進出前の冷静なときに、「3年間は頑張ってみて、4年目で見直す」と決めておくことで、頑張りすぎて泥沼にはまるのを避けることも可能でしょう。

事例集の作成にあたっては、海外での事業再編を経験した、または検討している中小企業55社に対しヒアリングを実施しました。その結果を整理・分析し、個別事例からみる中小企業の海外事業再編の傾向や課題を説明しています。

「撤退期間」について回答が得られた32社のうち「1年以上2年未満」が15社ともっとも多く、次いで「1年未満」が10社、「2年以上4年未満」が6社、「4年以上」が1社となりました。約2割の企業が、撤退の決断をしてから実際の手続きを終えるまでに2年間の時間を要することが明らかになっています。

ただし、このヒアリングの多くは清算手続きに入った企業が対象のため、たとえば合弁解消の交渉をすればより早く進む場合もあります。早期の意思決定によって、速やかに持株を譲渡するなどして清算を免れれば、処理も早くなるといえるでしょう。

ヒアリングによれば、自社の撤退基準を設けていない企業は、撤退の決断に至るまでの時間を多く要しています。また、撤退リスクを想定していなかった企業からは、パートナーや現地従業員への説明方法やタイミング、行政手続きの準備などに苦労したという意見が多く寄せられました。撤退リスクをあらかじめ想定していたことが功を奏し、取引先への説明や今後の取引契約をスムーズに行えたという例もあります。中には、撤退の経験を踏まえて撤退基準の策定に着手した企業もみられます。

海外事業再編を行った事例

美容室およびエクステンション(つけ毛)の専門店を経営するダダという企業があります。1990年後半当時、世界の美容業界ではいくつかの欧米大手美容室チェーンがグローバル展開していましたが、これら大手美容室チェーンの髪の毛の切り方やヘアデザインに関する考え方はすべて欧米人向けに作られており、頭の形や髪質の違うアジア人には当てはまらないことが多いという状況でした。

日本では、日本人向けにアレンジされたヘアスタイルが提供されていた一方、アジア諸国の大手チェーンでは欧米型スタイルがそのまま導入されていたことに着目し、同社は欧米美容チェーンのビジネスモデルを参考に、アジア向けに美容サロン、美容師向けのスクール、美容室および一般消費者向けシャンプー剤などの製品の開発・販売までを手掛ける広範なビジネスモデルを確立し、アジア市場を取り込もうと考えました。そして2006年、海外第1号店として上海市に現地法人を設立し、2009年には同じ上海市内の浦東新区に第2号店となる新たな現地法人を設立しました。進出形態は、両法人ともに独資でした。

2009年に出店した第2号店では、2012年に入居ビルの家賃の契約期間(3年)が満了しました。社長は、進出段階から日系であれば若干の値上げに応じざるを得ないとしても、段階を踏んだ値上げ交渉ができるだろうと考え、日系ディベロッパーを選定して契約していました。しかし実際は3.3倍の値上げを突然要求され、減額交渉したものの受け入れてもらえず、そうなれば赤字は免れないことから第2号店の閉鎖を決断し、清算手続きをとりました。日本の本社では、進出段階であらかじめ撤退基準を設け、赤字になればサロンを閉鎖すると決めていたため、閉鎖の決断に至るまでに時間を要しませんでした。

同社では2013年に第2号店を閉鎖した直後、蘇州に現地法人を設立し出店しました。第2号店の美容器具や設備を移設して蘇州で使用するなど、実質的な店舗移転となりました。第2号店閉鎖に伴い、第1号店で受け入れた従業員の中には蘇州店に異動した人もいます。同社は、その後も店舗展開を加速させ、グループ全体の海外売上比率は2015年春の上海出店を果たした段階で50%を超えており、アジア向けの海外展開戦略は成功の途上にあります。

海外事業再編についての支援施策の紹介

中小企業海外展開現地支援プラットフォーム事業では、海外現地に相談窓口を設置しています(12カ国17カ所に設置済。平成27年度に3カ所新設予定)。また海外事業再編戦略推進支援事業では、海外子会社の経営に課題を抱えている中小企業(国内親会社)に対し、専門家による経営診断および市場調査などを通して事業再編に資する選択肢を提案することにより、当該課題の解決の推進を支援しています。

コメンテータ:
海外からの撤退に関する研究は、国際的にも十分に行われていません。そこには撤退した企業へのアクセスが難しいなどさまざまな理由がありますが、日本の中小企業の海外撤退に関する研究も進んでいないのが現状です。本澤氏の報告は、事例研究によって日本の中小企業による海外撤退・事業再編の実態を明らかにしたという意味で大きな意義があります。

私が勤務しております日本政策金融公庫総合研究所が実施した「中小企業の海外撤退の実態~『中小企業の海外事業再編に関するアンケート』から~」(2014年10月)によると、もっとも重要な撤退の理由で一番多いのは製品需要の不振(11.8%)です。次いで管理人材の確保困難(10.6%)、現地パートナーとの不調和(10.6%)となっています。

また、撤退する際に直面した課題について「とくになし」は15.7%に留まっており、多くの中小企業は何らかの課題に直面していることがわかります。中でも多いのは、パートナー企業との交渉(39.8%)、現地従業員の処遇(38.6%)です。

事業再編後の展開として、ある海外拠点から撤退した後も海外拠点を有する割合は46.5%と高く、現存拠点が存在する国・地域は中国(52.6%)がもっとも多くなっています。撤退した拠点が一番多いのも中国ですから、多くの中小企業が中国のある地域から撤退したものの、なお中国の他の地域に拠点を残しているのが現状といえます。

撤退経験の活用状況として、現存する海外拠点がある企業では、既存の海外拠点で活かした(41.7%)、撤退後新たに設置した海外拠点で活かした(41.7%)と回答する企業が多くなっています。海外拠点で撤退経験を活用した事項をみると、日本本社による海外拠点管理の強化(44.7%)、生産・品質管理体制の整備・見直し(34.2%)といった点が多い状況です。

大企業では、海外拠点の自主性や、海外拠点間の連携を重視する動きがみられるなかで、はたして、日本本社のコントロールを強めるのが本当にいい方法なのでしょうか。そうした点を含めて、中小企業の海外展開に関しては更なる研究が必要です。そして重要なのは、ある海外拠点から撤退した後も、たくましく海外展開に取り組み、撤退経験を活かしている中小企業が存在している点であると考えます。

質疑応答

Q:

撤退期間について、日本国内における倒産手続と比較しつつ、海外の場合にはどのような特徴があるのか、もう少し詳しくうかがいたいと思います。

A:

撤退期間に関する海外特有の特徴として、まず税務署との折衝に時間がかかることが挙げられます。国によっては、現地の海外法人から少しでも多く徴収しようという意図がみられます。たとえば、撤退の申告書を税務当局に提出した途端、過年度の決算書に不適切な会計があったと指摘され、改めて追徴課税されるという事案がありました。その際、過年度の税務申告が適正であったか否かの判断に半年、1年を要することもあります。

合弁解消の交渉も、国内であれば日本の文化に基づいて阿吽の呼吸で進められるのですが、最後まで粘った者勝ちという発想を持つ海外の合弁相手になると時間がかかることがあります。フィリピンなどは、期間を置いて何度も公告する必要があるなど、清算手続きそのものが複雑です。国際的に倒産手続きを簡易化しようという流れは先進国を中心にあるものの、新興国の中には相当時間のかかるプロセスをとる場合も少なくありません。

Q:

撤退の理由として「管理人材の確保困難」が大きな要因となっていますが、これは日本から赴任する人材のことでしょうか。あるいは現地人材ということでしょうか。また、政策的に支援できる可能性について、ご意見をうかがいたいと思います。

コメンテータ:

現在、直接投資で海外展開している企業においても、管理人材の確保は大きな課題となっています。アンケート調査では明確に定義はしていませんが、日本から送る人材、現地人材の両方で同じことがいえると思います。政策的には、人材の育成や留学生の活用などを推進していく必要があるでしょう。

A:

海外展開支援室でも、海外産業人材育成協会(HIDA)などとの協力により、現地でのサービス業の担当者たちに日本へ留学してもらう事業や日本のサービス専門家を海外へ送って現地で支援する事業、大学生とのマッチング支援などを行っています。政策的余地はまだ大きいと思いますので、引き続き検討していきたいと思います。

Q:

日本企業の廃業率4%に対し、撤退した、あるいは撤退を検討している企業が33%という開きをみると、日本企業の海外進出に構造的な問題がある可能性も考えられます。また日本企業にこらえ性がなく、早々に撤退してしまっていることを示唆するデータはあるでしょうか。

A:

おそらく日本国内よりも海外での事業運営は難しく、海外特有の問題として管理人材の不足や時差、商慣習や文化の違いといった課題がみられるようです。これらを進出前から理解し、進出中にも軌道修正すべきなのですが、それをせずに進めてしまう認識の甘さが一因といえるでしょう。海外に進出すればいいことがあるだろうと、海外進出しただけで安心してしまう企業もあるため、私たちも経営改善をアドバイスしていく必要があると思っています。

コメンテータ:

撤退が早すぎるというよりは、海外進出する企業数自体が少ないというのが私の印象です。直接投資で海外展開している割合は、まだ中小企業全体の7%に過ぎませんので、当面は進出を促す施策を打っていくことが大事だと思います。一方で、業種によっては多くの日本企業が進出して競争も激化していますので、事業を継続・発展させるための支援が求められます。

Q:

進出前の段階から「撤退や移転にかかる費用を確保しておこう」という留意点を挙げられていますが、形式的には日本の親会社と海外の子会社は別企業であるといえるわけで、具体的に、日本の親会社の拠出責任はどの程度までかかってくるのが一般的なのでしょうか。

A:

原則論としては、親会社が子会社に補填あるいは追加投資する法的義務はありません。ただ、親と子の間に商取引が成立している場合が多く、その場合には、ビジネス上の契約義務などが生じることになります。

撤退費用に関しては、「すっからかんになるまで使ってしまってから撤退の判断をするのはやめましょう」と言い換えてもいいと思います。専門家への相談や依頼にかかる費用は最低限留保しておく必要がありますし、可能ならば退職金相当額や従業員への和解金(経済保証金)は確保すべきでしょう。つまり、財務状況がこれを下回るより先に撤退の決断をすることが重要ということです。

この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。