心の保険

開催日 2001年12月12日
スピーカー 星 岳雄 (カリフォルニア大学サンディエゴ校 教授)
コメンテーター 川本 裕子 (マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク シニアエクスパート)

議事録

5つのレジームに分けられる日本の金融システム

Anil Kashyapと共著でCorporate Financing and Governance in Japan: The Road to the Futureという本を出版しました。この本の内容に基づき、不良債権処理後の日本の金融の将来についてお話したいと思います。今から約3年前にこの本のための研究を始めたのですが、その当時、不良債権はもうすぐ片付くと思っていました。ですから不良債権処理後の新しい金融システムについて研究していました。それなのに3年経った今でも不良債権問題は片付いていません。

出版した本では、明治以降過去150年あまりにわたる日本の金融システムの発展を経済学的に理解することを目指し、重要な変化を政府の介入、大きな外的ショック、それらに対する民間の経済合理的台頭の結果として捉えようとしました。

その本では日本の金融システムの発展についての4つ質問に答えるというアプローチをとっています。すなわち、1) 家計はどのような形で金融資産を保有するのか、銀行預金か、株式か、債権を買うのかという保有状況、2) 企業はどのように資金を調達するのか、3) 銀行はどのようなサービスを提供するのか、銀行の役割について、4) コーポレート・ガバナンスはどのような仕組みになっているのか、コーポレート・ガバナンスにおける銀行の役割についてです。

日本の金融システムは5つのレジームに分けられます。まず、第1が創世記というべき明治以降1937年頃までで、比較的規制が少ないのが特徴です。株式による資金調達が重要な役割を果たしていました。第2は戦時期です。占領期で規制が強化され、銀行型システムの始まった時期です。第3が戦後の「日本型」システム全盛期で、銀行が資金調達の中心でした。第4は1970年代後半以降から1997年まででいわゆるビッグバン以前の時期です。規制緩和、銀行離れが進みました。そして第5はビッグバン以降であり、規制緩和の完結、市場型金融システムの確立の時期です。金融システムは最初のレジームに近いシステムになりつつあります。

21世紀の金融システムはどうなっていくのか

ここで21世紀の金融システムについての私の結論を申し上げます。まず家計の金融資産に占める預金の比率が減少し、特に投資信託などの証券の割合が上昇すると思います。また、小企業を除いて企業は資本市場に資金を頼るようになると予想しています。そして大銀行はユニバーサルバンクを目指し、中小銀行はニッチを見つけ、伝統的業務に特化することになるでしょう。コーポレート・ガバナンスにおける銀行の役割は後退し、代わりに株主の影響力が増すことが予想されます。

以上の結論に達した理由を3つ申し上げます。第1に、世界的な規模での金融規制の収斂が見られるからです。ヨーロッパにおいても銀行と比べて金融市場の役割が大きくなっています。第2に、日本の大企業の資本調達パターンは米大企業とあまり差がなくなってきていることが挙げられます。すでに市場型システムへの移行は部分的に観測されています。そして第3に、規制が強化される以前の日本の金融システムはもともと「市場型」であったからです。

21世紀型システムへの移行はビッグバンにより始まりました。しかしながら金融自由化は突然おこったのではなく、1970年代終わりに始まった金融緩和の最終段階としてのビッグバンと捉えるのが正しいと思います。これまでの緩やかな金融自由化を観察することにより、21世紀の金融システムがどのようなものになるか予測することができると思います。詳しくはHoshi and Kashyap “The Japanese Banking Crisis” NBER Macroeconomics Annual 1999を参照して下さい。

自由化以前の金融システムを出発点として考えると、強い規制の下で企業は銀行に頼らざるを得ない状況にありました。また家計においても銀行預金、郵便貯金以外に便利な貯蓄手段を持っていませんでした。そして銀行は預金集めと貸し出しといった伝統的銀行業務に専念するほかありませんでした。

自由化は70年代の後半に始まりました。大企業はエクイティ関連など、1980年代前半の比較的早い時期に資本市場へアクセスできるようになり、銀行依存度を減らしました。ところが家計の投資オプションは相変わらず広がらず、投資信託などは伸びませんでした。銀行業と他の金融業の間の垣根は取り除かれず、銀行は伝統的銀行業務に留まり続けました。

日本の金融システムの行き着く先とは?

さて、不完全で遅い自由化の結果どのようなことが起こったのでしょうか? 大企業の銀行離れは1990年くらいまでにはほぼ完了しました。しかしながら銀行部門が縮小を迫られることはありませんでした。預金はどんどん銀行に入っていきましたがそれに対する銀行の対応はといいますと、これまで付き合いのなかった中小企業への融資、特に土地絡みの融資に傾いていったのです。これがその後の1990年代の不良債権問題をもたらすことになりました。

日本の金融システムの行き着くところはどこでしょうか? 不良債権問題の最終処理後の金融システムは今の米国の金融システムに近いものになるでしょう。規制は米国に似てきていますし、大企業の資金調達パターンもかなり米国型に移行しています。また戦前の金融システムは「市場型」でしたので、ある意味で戦前のシステムに戻る、といったイメージでしょう。

ここで製造業における大企業の銀行依存度のグラフ(資料参照)をお見せします。もとのデータは法人企業統計です。それぞれの産業について1998年における米国の銀行借り入れの割合と日本のとを比較しますと、石油、石炭、鉄鋼などの産業では極端に銀行依存度が高いですが、その他の業種ではかなり米国型に近づいています。中小企業はこれとはずいぶん違うパターンでした。

日本企業の資金調達パターンが米国型化するにつれ、銀行業にどのような影響があるかと申しますと、銀行セクター、少なくとも伝統的銀行業務は大幅に縮小することが予想されます。シミュレーションによると20-40%の縮小が示唆されます。また、資産の大幅な縮小が予想され、銀行間の合併だけでは問題は解決しないでしょうから、これからも当分の間、銀行業の再編は続くと思われます。

それでは銀行のとり得る選択肢は何でしょうか? 2つの選択肢があります。第1のオプションがユニバーサル・バンキングによるOne Stop Shoppingの提供です。個人は預金もでき、投資信託も買えるというサービスです。第2のオプションは顧客を絞って個人向け、中小企業向け、伝統的銀行業務特化など、ニッチ戦略をとることです。両方とも成功する可能性があると思いますが、ユニバーサル・バンキングでの成功は国際的、業際的競争に勝ち抜く必要があり、大変だと思います。

家計の投資行動についてお話します。ビッグバンによりオプションは広がってきましたが、家計の投資構造の変化を裏付ける証拠を見つけることはできていません。未だ預金比率の大きな減少は見られませんし、証券投資は緩やかな増加に過ぎません。

2001年3月末の米国の家計における金融資産の分布を見てみますと、預金の占める割合は約15%に過ぎず、市場性のある金融資産の割合が高くなっています。これと比較して日本では預金・現金の占める割合が50%を超えています。現在のところ、市場型に移行しているとは言えませんし、調整には時間がかかりそうですが、比較的小さな変化であっても家計の投資行動にとっては大きな変化につながることも考えられます。

コーポレート・ガバナンスの面では大きな変化が予想されます。90年代、メインバンクの役割が低下しましたがそれに代わる主体が現われず、ガバナンスの真空状態が起こりました。しかしその真空を埋めるかのように株主の役割の増加が見られます。例えば持ち合いの解消、株主代表訴訟の増加、個人投資家や外国人機関投資家の株式保有の増加などです。また経営者へのアンケートを見ても株主利益を考える経営者が増えてきているようです。

歴史的視点から申し上げますと、市場型金融システムへの転換はある意味で戦前システムへの回帰であるといえます。規制が強化される前の戦前は現在と比較して、市場や株式の役割がより大きく、金融資産保有に占める証券の割合がより高い状況でした。また株主主導のコーポレート・ガバナンスがある程度機能していました。

戦前は家計の金融資産においても証券保有の占める比率が高く、また企業のファイナンス方法も市場型で、株式、社債による資金調達の占める比率が高い状況でした。

戦前の株式市場の規模は大きく、東京証券取引所のみならず、大阪証券取引所も大きい規模でした。市場価値/GDP比率を見ると、1998年と比較して1936年の日本は倍程度の率でした。

結論を申し上げますと、日本の戦前の金融システムは市場型であり、市場型システムが日本に馴染まないという議論は間違っています。いわゆる「日本型」金融システムは戦中・戦後の規制の産物であり、規制がなくなれば市場型金融システムに回帰すると考えるのは自然だと思います。

川本裕子(マッキンゼー・アンド・カンパニー、コメンテーター):

規制によって金融システムに影響があるというご意見には賛成です。戦前も非効率な銀行が多く存在し、淘汰されていくという「市場型」論理が働いていました。

多くの国で中企業への貸し出し業務は非常に収益性の高いビジネスとなっています。今後も中企業への貸し出しは銀行の中心的な役割であり続けるでしょう。ユニバーサル・バンキングか伝統的業務か、という選択は銀行の規模によってのみ決まるわけではなく、むしろ多様なスタイルのイメージがぴったりくると思います。

日本は資産が多すぎる状態であり、20-40%がオーバーキャパシティだと思います。例えば資本利益率(ROE)を比較すると、資本効率が悪いといわれているフランスでも日本の3倍の効率です。今後も銀行合併がなされるべきというのはその通りだと思います。これまでの合併のミクロ的な効果はまだ見られないので今後に期待したいと思います。

星:
合併の効率について申し上げますと、一般に合併の効果は3~5年かかるといわれています。その意味ではまだチャンスがあるのではないかと思います。地方銀行の話ですが、伝統的銀行業務では運用できず、運用難に陥っているケースがあります。ユニバーサル・バンキングに移行するのか、将来の預金減少に備えた形をとるのか、どちらがprofitableかを考えていくべきでしょう。

質疑応答

質問者A:

日本の戦前の市場型システムに今後回帰するということには同感ですが、ガバナンスを考えてみると、ガバナンスのやり方は株主の間では分散されており、機関投資家によるリレーショナルなガバナンスのイメージがあります。機能として考えると、よりリレーショナルな方向に収斂が起こっているのではないでしょうか。これからの金融システムを考えると一体どのようなコーポレートガバナンスの形がとられるとお考えですか?

星:

すべての株主が小株主ではなく、いわゆるブロックホルダーがいますので、経営者との関係において大株主が果たすガバナンスの役割は大きいと思います。

青木(経済産業研究所 所長・CRO):

資産はむしろ多様化していっているのではないかと思います。銀行が”financial intermediary”であるだけでなく、そのような金融仲介業者の仲介をすることも考えられます 。ベンチャーキャピタルの役割もあります。株式公開(IPO)ということがいわれますが、シスコシステムズなどのバイアウトも成功例でしょう。そのようなアレンジもベンチャーキャピタルが行いました。日本の問題は銀行だけがfinancial intermediary で、サービス別に特化した主体がなかったことです。戦前は規制があったけれど規制がなくなれば良くなる、というような単純な問題ではないと思います。財閥系の株主、販売されていない株式もあるでしょうし、組織の面でもそんな簡単なことではないと思います。戦前のコーポレートガバナンスは乱雑なこともあり、例えば金融恐慌の際に市場が有効なコーポレートガバナンスとして機能していたかというと、財閥支配もありましたし、そうはいえないと思います。
最近の米国の市場はもっと進化していると思います。1980年代にかけての銀行の問題は日本の企業組織、労働市場など50年間続いている、もっと根本的な問題のものです。「昔そうだったから元に戻る」とか「規制がある今だけがaberration」というのはおかしいのではないかと思います。僕は星さんの本の推薦文を書いたのにこんなこといってしまうとおかしいのだけど、本はちゃんと読んで推薦文を書いたのですよ(笑)。

星:

雇用なども含めて、全体的な説明をするほうがいいと思いますが、本日は時間に限りがあるために単純化して説明しました。本の中では詳しく解説しています。財閥の件ですが、株式公開されていなくても、財閥の株主が系統会社をコントロールしていた事例はたしかにあります。

青木:

市場型というのはどういう制度ですか?

星:

将来的に出てくる株式中心の市場と戦前の市場は異なります。戦前は庶民が株を持って、投資信託して、企業へ資金提供するのではなく、財閥や地方の資産家が株主として企業にお金を提供するというシステムでした。これからの株主中心のシステムは本当の意味での米国型市場です。つまり資産家でもなんでもない、我々のような一介の人間でも株式市場に参加できる、という本当の市場システムになってくるでしょう。

質問者B:

役所、政治のプロセスを経ると規制改革も妥協の産物になってしまいます。制度設計をした上での規制改革になかなかなっていきません。そのことがどういう歪みをもたらすのかと心配に思います。大企業の銀行離れの一方、預金は銀行に集まるというシステムは変わらないのではないでしょうか。ペイオフ解禁についてはどうお考えですか?

星:

徐々におこる規制緩和の歪みは、政治経済学上のプロセスと経済学的プロセスの違いだと思います。つまり、徐々に規制を緩和すると余計に弊害がでてきます。偏った規制緩和は良いはずはなく、経済学的にいうと一気にやってしまう必要があります。ペイオフについてですが、日本の預金率は戦後を通し、ずっと高い水準にあります。明示的に預金が保護されるようになったのは1971年のことであり、大蔵省が銀行を保護していたことと、預金が多かった事実とはあまり関係ないのではないかと思います。

質問者B:

ペイオフになったら預金は減るのではないですか?

川本:

国民の中で1000万円以上の預金保有者は0.4%に過ぎません。また、家計の平均預金額は1400万円ですが、名義を家族に書き換えれば良いわけですから、そんなに減らないと思います。損失が資本を超えなければ払い戻されるのですから、潰れる銀行は早く潰したほうがいいと思います。

質問者C:

産業構造の変化はどのような影響をもたらすでしょうか? 情報通信型の産業の発展と、市場型金融への移行との関係はどうでしょうか?

星:

現在の産業構造をgivenとして考えていました。アメリカでも産業ごとの銀行依存度は違います。産業構造の変化に合わせて銀行の役割がどのように変わるかというのは重要なポイントだと思います。

質問者D:

年金などの公的な金融システムが戦中に変わったのは確かですが、本来システムというのはなかなか変わりにくいものです。公的な年金でカバーされている範囲が広いので私的年金を増やすなどしないと、金融だけでこのような流れが簡単にでてくるようには思えません。

星:

重要なポイントだと思います。経済全体を見ると相互補完的にいろいろなシステムがあり、1つが変わり始めると他のものも変わっていく可能性があります。ですから金融は日本の他の部分をリードする原動力になっていくと思います。雇用や公的金融も変わってくるでしょうが、どう変わるかはバリエーションがあると思います。

質問者D:

住宅金融公庫ですが、結局誰も買う人がいないから政府買い取りになってしまいます。基礎年金より高いところまで公的年金がカバーしている状況がいずれ変わる、といわれても、10年位の期間では変わらないと思います。

星:

徐々には変わってきていると思います。住宅金融公庫で売れないというのは設定されている値段が間違っているからだと思います。

質問者E:

労働市場も相当変わってきていると思います。55年システムとして労働市場、金融システムを考えるべきでしょう。NTTもばらばらに解体し、地方のNTTの賃金は30%引き下げています。これは米国で80年代半ばにやったことと同じです。現在、松下などの優良企業で希望退職を募るとそれを上回る希望者が応募するということです。ですから労働市場も変わってきているといえます。金融でも県や市の預金はかなり変化しています。

質問者F

合併の効果についてですが、お2人とも期待をこめて合併などの再編の効果が現われるとおっしゃいました。日本の場合、提携や合併があってもビジネススタイル、経営スタイルがほとんど変わっていないのではないかという批判があります。外資系企業では役員から中間管理職まで総入替します。合併してもビジネスオペレーションが変わらない状況をどうお考えになりますか? また、経済の他の要因との関わりについてですが、戦後の銀行中心のガバナンスでは、業績不振になったときに銀行から人が派遣され、経営に関与しましたが、どうして上手くいったのでしょうか? 経済環境をどう理解すればいいのでしょうか。銀行が大株主として果たす役割についてもどう考えればいいのでしょうか。

星:

合併の効果についてですが、希望はありますが期待はしていません。今までの合併を見ていると期待はできません。3-5年先を見てみないと分かりませんが、効率的な動きという証拠はないと思います。

青木:

みずほグループでは社長、頭取、みんな交替にすると聞いて画期的だと思いました。

質問者F:

外資ではかなりの交替が見られますが、日本ではトップを代えるだけだと結局中間管理職が上に上がってくれば何も変わらないと思ってしまいます。

星:

メインバンクのガバナンスがうまく機能していたこともありました。銀行から派遣された人がリードして経営するのではなく、ミドルの中で良い人を見つけて経営をリードさせたのです。経済環境の違いがあったというのはよい指摘だと思います。先進国に追いつくための成長が大きいテーマであった時期もありました。新しい戦略を模索する必要のなかった時代と違い、経済環境が変わった今、リスクをとる必要性がでてきました。上手く機能するガバナンスについて考えることが必要になりました。

川本:

外資系企業の合併も必ずしも成功ばかりではありません。外資系の50%位は成功といえない事例です。コスト的にいえば、都市銀行は規模が大き過ぎて合併について否定的でしたが、合併すると分割差益を早く出せます。減資を意味しますが、規模縮小の契機になるのではないかと思います。

質問者G:

戦前のインサイダーの株主についてですが、戦前と戦後では所得格差が大きいのではないでしょうか。一般の家庭において株式投資は普通になるのでしょうか? リスク分散の目的で富裕者層は余剰金で株式を買うかもしれません。しかし一般には老後の保障を気にしなくてよかった時代の勤労観、不労所得に対する考え方も深くかかわっていると思います。アロケーションは上手くいくのでしょうか。

星:

戦前型ガバナンスはインサイダーガバナンスであり、これからの金融システムとは違います。普通の家計による株主投資はリスクマネーと違うと思います。いずれは投資信託を買うようなシステムに移行するのではないかと思います。株式市場が長期で復活すれば金融資産の分布も変わると思います。価値観も外生的ではなく、リスクが変われば価値観も変わっていくと思います。

質問者H:

日本の家計にとって投資信託を買うというのはあまり自然に思えませんが?

星:

そんなに難しくないと思います。これまでやっていないということだけだと思います。

質問者I:

どれくらい時間を経て先生のおっしゃる変化が現われるとお考えですか?

星:

重要なポイントです。これから7-8年で重要な変化が見られると思います。3年前に不良債権処理が終わったと仮定していましたのでそもそもの見通しが間違ってしまっています(笑)。10年で結果が見えるといいですが、不良債権処理を一日も早くしないとだめです。

質問者J:

間接金融は本当に上手く機能するのでしょうか。中企業にきちんと貸し出しできるかどうかですが、これまでは有担保でOKでした。不良債権処理の嵐を通り、日本の金融機関における審査のテクニックはこれから一体どうなるのでしょうか。銀行の審査能力について悲観的な考えを持っている人が多いのですが、内生化したほうがいいのか、外生化がいいのか、どうお考えでしょうか?

星:

個々の金融機関によると思います。中銀行への貸し出しが収益的に大切です。そこが重要な収入源になるとすれば、良い企業を見つけてくる審査能力がないと太刀打ちできなくなります。それが上手く出来るところは生き残り、まずいところは淘汰されていくでしょう。できる銀行が幾つかあると思います。

この議事録はRIETI編集部の責任でまとめたものです。