RIETI特別セミナー

米国の税制改革をめぐる動き(議事概要)

イベント概要

    • 日時:2017年8月21日(月)12:15-14:00
    • 会場:RIETI国際セミナー室1121号室(〒100-8901 東京都千代田区霞が関1丁目3番1号 経済産業省別館11階)

議事概要

アラン・J.・アゥアバック

アラン・J.・アゥアバック

米国における大型税制改革の展望に焦点をあてた今回のRIETI特別セミナーでは、カリフォルニア大学バークレー校のアラン・J.・アゥアバック教授をお迎えし、トランプ大統領と下院共和党の予想外の勝利を背景に、税制改革の詳細についてご講演いただいた。アゥアバック教授によると、「仕向け地主義キャッシュフロー課税 (DBCFT)」を導入するメリットは、付加価値税 (VAT) 導入と同様に、雇用税・法人税の減税だという。税制改革の必要性は、国際的な租税競争が進行し、企業が米国から利益をタックスヘイブンに移転していることからも明らかである。しかし、現在の政治状況、とりわけ米国政府がカオス状態にあることを考慮すると、2018年の議会中間選挙までに大型税制改革が実施される可能性は低いという。

講演「米国の税制改革をめぐる動き」

アラン・J.・アゥアバック (カリフォルニア大学バークレー校教授)

現在、トランプ大統領が直面しているさまざまな問題は税制改革とほとんど無関係かもしれないが、本質的な政策課題から関心をそらせてしまうため、税制改革の先行きに影響を及ぼす。

現時点の進捗状況

現在の進捗状況については、米国では政策形成において、議会と大統領がほぼ対等な関係にあるということに留意する必要がある。大統領が詳細な提案を示されなければ、議会は独自に提案を作成する。米国の憲法により、税制法案は下院の歳入委員会によって起草されることが規定されている。

トランプ政権発足当初、不明瞭な議会運営を考慮し、まず医療保険制度改革 (いわゆるオバマケア) に着手し、その後に税制改革を進める計画であった。上院で法案を可決するには60票以上の圧倒的多数が必要だが、共和党の議席は52である。そこで共和党は単純過半数の賛成で法案を可決できる、年に一度の財政調整措置を利用することにした。共和党の議会指導部は2017年度の財政調整でオバマケア改革を実現し、2018年度の財政調整で税制改革を行うことを目論んでいた。

しかし、オバマケア改革はトランプ政権にとって最悪な結果に終わった。共和党は上院での法案通過に必要な票を獲得できなかったからである。この失敗を受け、大統領と議会共和党は税制改革に取りかかれることになったが、失敗の前例を作ってしまったことで、税制改革案が可決される可能性は低くなった。

税制改革の原案は、2016年6月末にポール・ライアン下院議長が中心となって下院共和党が発表した案 (ブループリント) である。ヒラリー・クリントンが大統領になると大方が予想していた時期に公表された改革案としては、かなり野心的な内容だった。当時、共和党はホワイトハウスと議会の両方を支配するとは予想しておらず、民主党の大統領と交渉せざるを得ないと考えていた。このため、ブループリントの内容はどちらかというと原則の表明で、交渉準備のたたき台として用意された政治文書であった。しかし、共和党がホワイトハウス、上下院ともに支配を取り戻したことによって、ブループリントは税制改革の実行計画となり、当初よりかなり多くの支持を受ける一方、多くの反対にさらされることになった。

DBCFTとは何か

ブループリントは、連邦所得税の最高税率を33%、法人税の最高税率を20%に引き下げると同時に、法人税制の抜本的な改革を提唱していた。これが、DBCFTの導入である。下院共和党のブループリントに対して、トランプ政権も独自の税制改革案を発表したものの、斬新なアイデアや詳細な説明はなかった。政府案では、所得税減税やブループリントよりも大胆な法人税率引き下げが含まれていたが、ブループリントが提唱していた税制改革、たとえば海外で支払った税金を米国の税額から控除する制度などには言及していない。また、トランプ税制改革案では、今後10年間、毎年GDPの2.5%以上の税収が減り続ける、つまり連邦政府の税収が約14% 減ることが予想され、財政上きわめて無責任な案であるといえる。DBCFTを導入すればかなり税収が増加することが見込まれ、財政責任により配慮した税制改革となるだろう。

米国の現行税制では、株式会社もそれ以外の事業体も同様に課税される。米国の所得課税方式はかなり標準的であり、海外子会社の利益も課税対象とした全世界所得課税方式を採用している。海外所得については、米国国内に利益を還流させた際、海外で支払った税額分を米国の課税額から控除された上で課税される。DBCFTでは、設備投資について一定期間にわたる減価償却という現行制度を即時全額控除に変え、金融機関以外の企業の利子控除を廃止し、海外所得を課税免除とし、代わりに国境調整を導入する。国境調整は、海外で販売される米国製品を課税対象から外すとともに、輸入品を税控除の対象から外す。最終的に、輸出品を益金不算入とし、輸入品の損益算入を認めない課税制度になる。

他の政策との関係

国境調整は、人件費控除、あるいは同率の給与所得税控除付きの「控除型」付加価値税と同じ効果をもつ。将来、米国は付加価値税を導入するかもしれないが、これまでの歴史的経緯から見ると近い将来に導入されることはないだろう。

導入の動機

DBCFT導入の動機は、1990年以来、米国以外のG7各国で法人税率が引き下げられているにもかかわらず、米国の法人税率は変わっていないことである。1966年の米国のトップ5企業はAT&T、IBM、ゼネラルモーターズ、エクソンモービル、イーストマンコダックであった。AT&Tは政府規制の下、米国の電信電話サービスのほぼすべてを提供する独占企業だった。エクソンモービルは国際的な石油企業で、その他3社は米国製品を輸出する企業である。この中で、2016年時点においても引き続きトップ5企業なのはエクソンモービルだけであり、あとの4社はアップル、アルファベット(グーグルグループの持ち株会社)、マイクロソフト、アマゾンである。4社はすべて知的財産に基づいた財・サービスを提供する企業である。

この50年の間、住宅以外の資産に占める知的財産の割合は2倍になったが、米国に拠点を置く企業の税引き前利益に占める海外事業の割合は4倍に増えた。50年前の米国企業は、事業活動のほとんどを国内で行っていたため、本拠地を国外に移転して租税回避すること(タックスインバージョン)は難しかっただろう。しかし、企業活動の国際化により、1990年代半ばにはインバージョンが増加した。2000年代前半には立法措置でインバージョンがより難しくなったが、その後、米国企業と外国企業のM&Aを利用した新たなインバージョンが増え始めた。オバマ政権時代の2016年、財務省はインバージョンを抑制するための新たな規制を導入し、その後インバージョンは減少した。

現行税制がもたらすもの

米国の現行税制では、海外利益は国内に還流する時点で課税されるため、企業にとっては海外に留保しておくインセンティブが働く。このため、米国企業は2.6兆ドルもの資金を海外にためこんでいる。現在、国際的なサプライチェーンが拡大しており、どこで付加価値が生み出されているのか、どこで利益が発生しているかを突きとめることは困難になっている。グーグルのような企業にとって生産拠点の変更は簡単なことであり、税金に対してより敏感になる。このことは、税率を引き下げる圧力になる。さらに企業は、利益を申告する場所を選ぶことができる。利益の発生場所の見極めが特に難しいのは、生産において知的財産が果たす役割が大きい場合である。無形資産の帰属を容易に動かせるため、利益が発生する場所も容易に移動できるからである。2012年において低税率国に利益が移されていたため、米国が失った税収は2800億ドルと推定されている。

従来の方策

この状況を改善するため、これまで行われていたのは、法人税率の引き下げである。米国が国際的競争力を保つには、法人税率を20%前後にまで引き下げる必要があるが、これでは大幅に税収が減ってしまう。

2番目の方策は、米国企業の海外利益に対して、より高い税率で即時に課税するというものだ。企業は追加の税負担なしに利益を還流できるので、ロックアウト効果 (海外利益を留保するインセンティブ)は減るだろう。しかし、米国企業以外の企業はこれに従う必要がないため、インバージョンが増加するだろう。したがって、オバマ政権のこの改革案はあまり支持を得られなかった。

3番目の方策は源泉地国課税制度を導入し、米国企業の海外利益に対する税率を下げるというものだ。法人税率の引き下げがないまま、この制度を導入すれば、海外に移転した利益を追加課税なしに還流できるため、企業にとって事業活動と利益を海外に移転するインセンティブが働く。この共和党案もあまり支持を得られなかった。

4番目の方策は、税源浸食と利益移転 (BEPS) である。各国が協調的にルールに従えば、企業は大規模な経済的活動を行っている場合を除き、利益を法人税率の低い国に移動しにくくなる。BEPSでは、企業がタックスヘイブンに活動拠点を移し、そこで利益を申告しようというインセンティブが働くので、企業活動を海外に移転することになる。利益だけでなく投資と雇用も海外に移転してしまうため、米国にとっては望ましくない。

代替案としてのDBCFT

DBCFTを導入すれば、以上の問題をすべて解決できる。企業は米国から海外へ利益を移転できなくなり、海外に生産拠点を移すインセンティブ、インバージョンのインセンティブ、さらには、ロックアウト効果もなくなる。

潜在的な経済効果

DBCFTは、国境調整があるため税収に対してほぼ中立的となるだろう。この点に関しては、前提となる貿易赤字が恒久的に続くというのはあり得ない、という批判が起きた。DBCFTの下では、輸入の控除はなくなり、輸出は免税になるため、GDPの約3%に相当する貿易赤字を抱える米国ではかなり多額の税収が見込まれる。しかし、国境調整によって短期的に税収は増えるが、長期的に税収増は続かない、という議論がある。過去の貿易赤字を埋め合わせるように、より大きな貿易黒字がいずれ発生するからである。

しかしこの議論は、米国の貿易赤字の相当な部分が関連当事者取引によるものだという事実を無視している。たとえば、グーグルとアイルランドの子会社との取引が輸入超過になったとしても、グーグルはその子会社を保有しているのだから、米国の負債はトータルでは増えていない。貿易赤字を相殺するためにグーグル・アイルランド社に対して貿易黒字を計上する必要がなくなるため、関連当事者間取引の純輸入分についての控除を恒久的になくすことは、米国にとって利益となる。

付加価値税の変更についてのエビデンスによると、国内の製品価格と名目為替レートの調整により実質為替レートが変化し、外国製品に対する国内製品価格の変化による影響は相殺される。ただし、この制度の導入によってかなりの米ドル高が生じることが予想され、米ドルを通貨として採用している国やドル建て債務を保有する国は負の影響を受ける可能性がある。

DBCFTは米国に投資するインセンティブに影響を及ぼす。投資の即時費用化が投資を促進する一方、利子控除の廃止により資本コストは上昇する。米国に拠点を置く企業は、国内外問わずあらゆる収益への課税がゼロになるため、米国における設備投資が促進される。生産と利益に対する税率を引き下げることで企業活動の移動が相当進むというエビデンスもある。

DBCFTに関する賛否両論

DBCFTは大きな変革だが、さまざまな企業がよくわからない形でそれぞれ影響を受けることが予想されるため、賛否両論ある。実際のエビデンスを見る限り、実質為替レートの変動によって、輸入業者が不利になる状況は是正されると思われるが、輸入集約産業はこれに懐疑的である。不動産のように、利子控除に大きく左右される業界は不利になる可能性がある。また、DBCFTは国際的にも賛否両論ある。導入されれば、企業が借入と利子控除を他の国に移す誘因となると同時に、生産を米国に移し、利益を米国に移転するインセンティブにもなる。

税制改革の3つの可能性

オバマケア改革の失敗を受け、共和党幹部6人 (ゲーリー・コーン、スティーブン・ムニューシン、ポール・ライアン、ミッチ・マコネル、ケビン・ブレイディ、オリン・ハッチ) は税制改革についての共同声明を発表した。声明は、法人税率の引き下げ、投資の費用計上維持、国境調整税導入の断念をよびかけたが、利子控除廃止については言及がなかった。国境調整を導入せずに法人税を大幅に引き下げれば、巨額の税収減を招く。トランプ政権が「アメリカの雇用を守る」を公約に掲げていることから、大規模な法人税率引き下げによる税収減を関税によって補う方向性が示唆されている。

第1に、上院の財政調整措置を活用して大幅な減税法案を成立させるという可能性がある。しかし、財政調整で通過した法案の効力は、予算決議の対象期間である10年を超えることが出来ない。したがって、10年間に限定した大幅な法人税引き下げと関税増の組み合わせという結果となる可能性がある。

第2に、法人税改革が共和党・民主党双方から支持されるという可能性である。問題は、共和党の税制改革案に民主党が賛成でいない内容が含まれていることだ。したがって、超党派的な税制改革は、これまでに見た内容とはかなり異なるものになるだろう。

第3に、米国政府の混迷によって何も起きない、という可能性である。2018年は中間選挙の年にあたり、下院全議席と上院の3分の1の議席が改選となる。共和党としては、物議をかもすこともなく、再選の可能性を台無しにすることのない成果をあげたいところだが、中間選挙までの間に税制改革が一切、進まない可能性は大いにある。中間選挙後は、税制改革についてもっと有益な議論が行われるかもしれない。個人的には、2018年の中間選挙以前に議会を通過するよう税制改革は、あまりよい政策になるとは思えない。

ディスカッション

ディスカッサント兼モデレーター
佐藤主光 (RIETIファカルティフェロー、一橋大学経済学研究科、国際・公共政策大学院教授)

佐藤:
米国の税制改革の日本への影響だが、多くの人は、法人税率引き下げは、米国が国際的な租税競争に参加するということだと思うかもしれない。また、この税制改革案は保護主義的だと評価するかもしれない。関税は日本企業が米国に輸出するのを阻害する可能性があるからである。しかしながら、そうした見方は今回の税制改革案の全容をとらえていない。法人税の抜本的な改革を目指したものであり、課税ベースを所得から消費へ、課税原則を居住地主義から仕向け地主義へとシフトさせる。

おそらく、国境調整は導入されず、税率引き下げが改革の中心となるだろう。日本にとって問題なのは、引き下げが実現すれば米国の法人税率は日本より低くなってしまうことである。現行の日本の法人税率は国税・地方税合わせて30%である。トランプ大統領が提案している法人税の最高税率15%が実現すれば、米国の法人税率は日本より低くなる。

多くのヨーロッパ諸国が、VAT、企業の社会保障負担、法人税率をすべて引き下げている。これはDBCFT制度の拡充とまったく同じである。日本は他の国とは逆に、法人税率は高く、企業の社会保障負担も増している。日本にはすでに消費税があるので、DBCFTを導入する必要はない。しかしながら、消費税率と企業の社会保障負担を引き下げ、法人税率を少なくともOECD平均まで引き下げる必要があるが、政府内で検討されている様子はみられない。

質問1:米国の税制改革が実施された場合のGDPやGDP成長率への影響について定量的推計値はあるか。

アゥアバック:
ローレンス・コトリコフと共著者がアゥアバック・コトリコフモデルを用いて行った米国の成長率と賃金に関する推計によると、共和党下院のブループリントに基づく法人税改革によって賃金は最大8%上昇する。ただし、これは過大な数値だと思う。さらに、改革案の実施はGDP成長率を0.1~0.2%上乗せする効果があるという。税収中立の前提で実施した場合、この税制改革は経済成長の押し上げに寄与するだろう。膨らんだ輸入の水準が低下するので、GDPは上昇するだろう。現在、米国の生産性の伸び率は低い水準にあるが、その原因は、以前よりも企業が利益を海外に流出させ、利益が海外で計上されているためかもしれない。

質問2:標準的な経済学では、法人税は最終的に労働者に転嫁されるという。DBCFTは異なるのか。税制改革はインフラ投資と並行して議論されるか。

アゥアバック:
経済学理論によれば、資本移動が自由なオープン経済の下では、キャピタルフライトが可能なため、法人税を最終的に負担するのは労働者になる。DBCFTの場合は異なる。導入すれば、米国での生産についてタックスウェッジ(実質的負担の違い)がなくなるからだ。DBCFTは、労働ではなく資産所有者に課税する税なので、個人的には常々、民主党こそこの税制度を支持すべきだ、と思ってきた。しかし、この点はまだきちんと理解されていないし、現在の政治環境では超党派的な協力は難しい状況である。

トランプ政権はインフラ整備の官民パートナーシップについて発言しているが、有料道路を除いて上場会社がインフラ関連プロジェクトで収益を上げることは難しい。詳細を見ないとはっきりしたことは言えないが、インフラ整備関連の政策は税制改革とは別に立案されることになると思う。

質問3:連邦債務の上限引き上げ問題は税制改革実施の妨げになるか。個人所得税率、法人税率の引き下げ幅はそれぞれ何%くらいになると思うか。

アゥアバック:
連邦債務の上限引き上げを巡る対立がどのように進展するかはわからないが、連邦債務上限が実際に問題になるとは思わない。他方、ホワイトハウスに一貫性のあるリーダーシップがない現状を見ると、トランプ政権がオバマ政権時代のように債務の上限引き上げ問題を乗り切れるという確信はあまりない。

税率の引き下げ幅については、何とも言えない。共和党の中には財政赤字を懸念して税率引き下げ幅を制限したいと考えるグループもいる。税率引き下げ幅が縮小され、法人税率のみが対象となるかもしれない。しかし、ほとんどの有権者は法人税について何の知識もないので、引き下げ幅が制限される可能性は低いだろう。

質問 4:DBCFT制度は世界貿易機関 (WTO)違反にならないのか。

アゥアバック:
経済学者として言えば、WTOがDBCFT導入の障害になるというのはナンセンスである。DBCFT制度にはVAT、雇用者税引き下げ、法人税の引き下げが含まれるが、どれ1つとしてWTOに違反していないのだから、どのような組み合わせも違反になるはずはない。ジョージタウン大学法科大学院のイタイ・グリエンバーグ教授は、WTO規則に沿った形でDBCFTを導入するよう法案を作成することは可能だ、という論文を書いている。

質問5:政治的な理由で税制改革が進まず、DBCFTが導入されないと仮定したら、米国社会でどのような反応が起きると考えるか。個人的には、DBCFTについての議論が起こると思う。教授の意見を伺いたい。

アゥアバック:
2016年のブループリントで提唱されていたDBCFTの計画は、直ちに法案化されるとは予期されていなかった。しかし、今では実際の導入が検討されている。当時、多くのグループが不完全な情報や議論に基づいて、DBCFTについて賛成または反対の運動を行った。DBCFTの具体的な計画について、まだ議会公聴会は開催されていない。したがって、今年度中に行われる主要な税制改革の中にDBCFTが入るとは予想していない。しかし、近い将来に、真剣に議論されることを願っている。すでにDBCFTの導入を検討している国もあり、米国でも理解が広がることを願う。

質問6:どのような政治家がDBCFTを支持するのか。トヨタ自動車のような企業は国境調整を支持していると理解している。

アゥアバック:
最も熱心な支持者はボーイング社のような輸出企業だ。主にウォルマートやナイキのような輸入企業は反対している。しかし、この状況は国境調整が恒久的な効果を持つという誤解からきているのではないかと思う。つまり、輸出企業は外国の競合他社より安い価格で販売できるようになるが、輸入業者がより高い費用を払うことになる、という誤解だ。為替レート、賃金、価格がやがて調整されると考えなかったのだろう。しかしながら、DBCFT導入で負の影響を受ける企業が存在することも事実だ。たとえば、借り入れに大きく依拠する企業は、利子控除の廃止によって打撃を受けるだろう。シリコンバレーの企業で、現在ほとんど法人税を払っていない企業はDBCFTに反対しているが、今後も税金をほとんど払わずに済むようロビー活動を行うのは難しい。議論が行われる中で、輸入企業の不満は多少和らぎ、輸出企業の歓迎はトーンダウンするのではないだろうか。