企業統治分析のフロンティア：企業成長・価値創造と企業統治

本ワークショップは、2013～14年度RIETIコーポレートガバナンス研究会（企業統治分析のフロンティア：企業成長・価値創造と企業統治）において進行中の研究の中間報告として行われる。

これまでの当研究会の研究成果から、（1）日本の企業システムがかつての同質的な構造から大きく多様化したこと、（2）その進化が制度間のハイブリッドな結合と制度内における異なった制度の並存によって特徴付けられること、（3）企業統治・組織構造の改革が企業パフォーマンスに実質的な影響を与えていること、（4）その企業の改革は依然として試行錯誤の過程にあり、ハイブリッド化が無視しがたいコストを伴っていること、などが明らかとなった。そして、こうした日本企業の統治構造の多様化の結果、企業が直面する課題も多様化したため、企業統治の再設計にあたっては、すべての企業に妥当する解決策はないという認識が重要である。

以上の認識のもと、本研究会では、外部ガバナンスと内部ガバナンス、事業ポートフォリオと組織構造、企業統治と企業パフォーマンスの関係について包括的に検討し、日本企業の競争力回復に貢献できるような理論的・実証的な研究成果の提供を目指してきた。さらに、単に研究成果の提供を試みるばかりではなく、経済理論面での重要な問題提議や、近年の企業統治に係る事態の進展（会社法改正、大規模な企業不祥事、企業と投資家の対話など）を念頭に置いて、強い政策的含意を持つ研究の推進を目的としてきた。

本ワークショップでは、以上の視点から本研究会のメンバーがこれまで進めてきた個々の研究について、現時点での到達点を報告し、今後の研究の方向性を相互に検討する。