ワークショップ

グローバル経済における技術に関する経済分析 (議事概要)

イベント概要

概要

当ワークショップは、RIETIの研究プロジェクト「グローバル経済における技術に関する経済分析 」(リーダー:石川城太ファカルティフェロー)の研究成果を報告するために開催された。プロジェクトメンバー7名(市田敏啓(早稲田大学商学部准教授)、大久保敏弘(慶応大学経済学部准教授)、大野由夏(北海道大学経済学研究科准教授)、武智一貴(法政大学経済学部准教授)、内藤巧(早稲田大学政治経済学術院教授)、椋寛(学習院大学経済学部教授))に加え、この分野での大家であるKeith MASKUS教授(University of Colorado)とJay Pil CHOI教授(University of New South Wales)にも参加頂き、8本の論文が報告された。

報告書

2013年1月28日、RIETIにおいて、プロジェクト「グローバル経済における技術に関する経済分析」(リーダー:石川城太ファカルティフェロー)のワークショップが開催された。そこで報告された8本の論文の概要、及び成果は以下のとおりである。

内藤巧氏は、すでにRIETIのディスカッションペーパーとなっている"An Eaton-Kortum Model of Trade and Growth " (RIETI Discussion Paper Series 12-E-055)を報告した。この論文は、Eaton-Kortumモデルに内生的成長モデルを組み入れ、貿易自由化が経済成長率やエクステンシィブ・マージンにどのような影響を及ぼすかを分析している。とくに、短期と長期における影響が異なることを指摘した。

椋寛氏は、"Market Access and Technology Adoption in the Presence of FDI"を報告した。この論文は、自国市場アクセスの拡大が外国企業の新技術の採用のタイミングにどのような影響を及ぼすかを分析している。外国企業が1社のケースと複数のケースは、タイミングに大きな違いが出ることを示し、政策的含意にも影響を与える。

大久保敏弘氏は、"Greenhouse-gas Emission Controls and International Carbon Leakage through Trade Liberalization"を報告した。新経済地理学の南北モデルにおいて、北において取られる地球温暖化政策(排出税・排出割当・排出基準)が企業の立地にどのような影響を及ぼすかを分析している。とくに、排出税が、炭素リーケージを最ももたらすことを示した。

大野由夏氏は、"Patented Technology, Product Development, and Infringement Lawsuit"を報告した。動学的なモデルを構築し、特許侵害の訴訟をいつ起こすのかについて分析している。訴訟は、「強い」特許のもとでは早い段階で起こるが、「弱い」特許のもとでは遅い段階で起こるという示唆を得ている。

武智一貴氏は、"The Price Distance: Producer heterogeneity, pricing to market, and geographic barriers"を報告した。この論文は、距離が地域ごとの価格にどのような影響を及ぼすのかについて実証分析を行っている。生産者の異質性や市場ごとの価格設定を考慮すると、距離の影響が非常に大きいと結論している。

石川城太氏は、"Trade and Industrial Policy Subtleties with International Licensing"を報告した。この論文では、自国企業と外国企業の国際複占競争において、自国企業から外国企業へのライセンスの可能性を考慮すると、政府の最適な政策が補助金(税)から税(補助金)にひっくり返ることがあることを示している。

市田敏啓氏は、"Imitation Versus Innovation Costs: Patent policy under common patent length"を報告した。この論文は、パテントの期間が異なる産業で一緒のときにパテントに関わる政策がどのような効果を持つかを分析している。とくに、「ソローの封筒」制度の含意を導いている。

Keith MASKUS氏は、"The Impact of Post-TRIPS Patent Reforms on the Structure of Exports"を報告した。この論文は、特許を集約的に用いる産業のアメリカへの輸出を分析し、特許の保護が強い国がより多くの輸出を行っているということを発見した。また、この傾向はTPIRS協定が結ばれた後の方が強いことも指摘している。