RIETI特別セミナー

WTO 2020:21世紀の貿易ガバナンス (議事概要)

イベント概要

  • 日時:2011年2月2日(水)12:15-13:45(受付開始および開場:12:00)
  • 会場:RIETI国際セミナー室 (東京都千代田区霞が関1丁目3番1号 経済産業省別館11階1121)
  • 議事概要

    今日の世界貿易は、1980年代やそれ以前と比べ、はるかに複雑になっている。世界貿易の鍵となっているのが、最もダイナミックな国際取引ともいえる生産分業(production sharing)であるが、今日のWTOルールは、こうした国際取引を支えるうえで必要な規律を提供し得ていないという現状がある。一方、こうした状況への対処として、より緊密な地域貿易協定、新興経済国の単独主義、網の目のように張り巡らされた2国間投資協定など、一連の規律がバラバラに並存するかたちで発展してきた。

    本セミナーでは、これらのことが経済分析においてどういう意味合いを持つのか、また、WTO体制にどういう影響をもたらすかについて考察した。

    講演

    リチャード E. ボールドウィン(高等国際問題・開発研究所(ジュネーブ)教授)

    地域主義(Regionalism)は重要なテーマですが、その中身は変化しています。私は今日、地域主義と、WTOにとって地域主義が意味するものに関する皆さんの考えを変えたいと思っています。そのための前提として、1)「21世紀の貿易」と呼ぶべきものがあること、2)21世紀の貿易には20世紀の貿易よりも奥行きのある規律(deeper disciplines)が必要なこと、3)「21世紀の地域主義」は、21世紀の貿易のガバナンスと現在のWTOによる20世紀の貿易のガバナンスの間のガバナンスギャップを埋めるために出現したものだ、ということ、の3つをご納得いただく必要があります。

    21世紀の貿易とは

    産業革命以前の時代には、消費活動や生産活動は単純で輸送能力も限られていました。そのため、ある村で消費されるほとんどすべてのものが同じ村で作られているように、経済活動は空間的に限定されていたました。

    蒸気機関が発明され、鉄道や蒸気船が出現すると、生産と消費を空間的に結び付けていた「輸送の足かせ(transportation glue)」は弱まりました。これがグローバリゼーションの始まりで、生産と消費の空間的切り離し、すなわちアンバンドリングが起こり、長距離交易が始まりました。国際貿易は国家間の商品流通を意味し、貿易の自由化は、ごく単純な規律に基づいて実施される関税の引きげを意味しました。

    この生産と消費の空間的アンバンドリングには、国家レベルでの生産の集約化、すなわちクラスタリングが伴いました。規模の経済と生産プロセスの複雑さが「組織化の足かせ(coordination glue)」を作り出し、その結果、さまざまな生産活動を1つの工場内に集める傾向が生じました。

    1990年ごろから、情報伝達技術(ICT)革命がグローバリゼーションの第2次アンバンドリングを引き起こしました。モノ、人、アイデアの双方向の流れを止めることなく、工場の生産区画を国外に置くことができるようになり、組織化の足かせが弱まり、それまで1つの工場内に置かれていた生産工程の一部は、国際貿易に置き換わりました。この変化により、国際貿易そのものが複雑化しました。

    第2次アンバンドリングにより、海外加工貿易の割合は1980年代から上昇し、1995年に更に増加しました。東アジアにおける日本の自動車と電気機器メーカーの工場数も同様の動きを示しています。JETROの世界貿易マトリクスによると、日本は1985年の時点では、他のアジア諸国に大量の部品を供給していましたが、2000年になると、モノだけでなく、人、アイデア、資本も複雑な動きを示すようになり、東アジア諸国とのつながりがずっと深まりました。

    このように、21世紀の貿易は、モノ、人、サービス、資本、情報が多方向に、しかも国ではなく地域のレベルで流れることを特徴としています。従って、20世紀の貿易と21世紀の貿易の相違点は、貿易コストではなく、生産を国際的にコーディネートしていることにあります。

    21世紀の貿易のための規律

    こうした21世紀の貿易の出現により、ガバナンスギャップが生じました。世界貿易の複雑化に対処するため、1986年頃から特に先進国において、それまでよりも奥行きのある規律が必要であるという認識が生まれました。欧州連合では単一市場プログラムが導入され、米国とカナダの間で締結された米加自由貿易協定では、欧州以外のFTAでは初めてサービスと投資が含まれました。さらに知的所有権の貿易関連の側面(TRIPs)、貿易関連投資対策(TRIMs)といった21世紀の問題に対処するため、ウルグアイ・ラウンドが始まりました。

    ITC革命は、北(=先進国)と南(=途上国)間のアンバンドリングを加速しました。先進国間のアンバンドリングは、良好なガバナンス構造とそれぞれの国内法によって支えられていましたが、北・南の関係は体系的に弱い法律構造の上に成り立っていました。従って、北・南の関係には新しい規律を作り上げる必要がありました。しかし、WTOは他のことで忙殺されていたため、ガバナンスギャップが生じてしまったわけです。

    ガバナンスギャップを埋める地域主義

    私は、21世紀の地域主義を、(1)1990年代の2国間投資協定、(2)南・北間の奥行きのある地域貿易協定(RTA)、(3)新興国による一方的関税自由化、の3つの出来事を通して考えています。

    2国間投資協定は、1985年から1995年にかけて急増しましたが、これは、第2次アンバンドリングが起こった時期と一致します。南・北の奥行きのあるRTAの設立は、1994年の北米自由貿易協定(NAFTA)の調印から始まり、1994年にはEUが欧州経済領域を発足、2007に日本が経済連携協定(EPAs)を調印しました。

    発展途上国による一方的関税引下げは、貿易の性格の変化と輸入代替政策の緩和に伴い、1985年から1992年にかけて起こりました。また、輸出を振興し、海外の工場を誘致するために企業優遇の改革も実施されました。

    20世紀の地域主義では特恵関税制度に重点が置かれていましたが、21世紀の地域主義では、その傾向が後退しています。私の以前の教え子であるTheresa CarpenterとAndy Lendleの2人が、関税分類品目ごとの輸入と関税のデータを使って行った詳細な計算によると、RTAを通じて行われている貿易は世界貿易の50%を占めますが、関税がゼロ%の最恵国扱いはそのうちの16%に過ぎず、10%以上の特恵扱いも輸入の2%未満であることが分かりました。このことは明らかに、RTAが特恵関税に関するものだけではないことを示しています。

    地域主義とWTO

    では次に、このような新しいタイプの地域主義をどのように考えるべきか、また、それがWTOにとって何を意味するのかについて検討します。

    伝統的な考え方では、租税経済学的見方による特恵貿易協定は、次の3つの要素によって代表されます。すなわち、特恵を得た国が勝利するというAdam Smithの確信、第3国が敗北すると指摘するGottfried Haberlerの溢出効果、特恵を与える側は勝利するかもしれないし、敗北するかもしれないというJacob Vinerの両義性です。これらの要素は、経済的・政治的分析に影響を与え、ほとんどの人々の地域主義に関する考え方に影響を与えています。

    私達が現在持っている知識の多くは、1990年代初頭にPaul KrugmanやJagdish Bhagwati、あるいはこの2人ほどではないにしてもLarry Summersによって確立されたものです。Krugmanは、「2国間主義は悪か?」という疑問を提起し、RTAは単に特恵関税にかかわるものであるという結論に達しました。Bhagwatiは著書『貿易制度の白アリ:特恵協定がどれほど自由貿易をむしばむのか(Termites in the Trading System: How Preferential Agreements Undermine Free Trade)』の中で、まるでRTAが特恵関税と同じものであるかのように論じています。Summersはもっと寛容な立場をとり、1国主義、多国間相互貿易主義、地域主義などに言及し、すべての「主義」は良いものであると述べました。

    しかしながら、もし私達が「21世紀の地域主義は、複雑な貿易を支えるためのものである」という論拠を容認するならば、「私達は、規制経済学(economics of regulation)について話しているのであって、税務経済学についてではない」という前提に立った方が無難です。このことはまた、ワイナリアン経済学が非現実的もしくは不十分なものであることを意味します。さらに私は、規制経済学が税務経済学よりもずっと複雑であることを指摘したいと思います。

    21世紀の地域主義によって自由化された障壁の多くは、摩擦障壁であるか、または私が「国境内の障壁(behind-theborder barriers)」と呼ぶものです。これらの障壁は、国境とは何ら関係のない参入規制に関するものです。2国間協定との関連で行われる規制の変更は、原産地規則によるものではないため、関係する2カ国だけでなく、その他全ての国にもメリットをもたらします。同様に、RTAが持つ貿易効果の計量経済学的推定に目を向けると、ほとんどの場合で貿易創出を見ることができます。このような結果は、ワイナリアン経済学では理にかなわないものですが、もしRTAが規制解除を目的とし、経済をもっと企業寄りのものにするためのものであるとするなら、完全に理にかなっているといえます。

    それではWTOは規制経済学の考えを取り入れるべきでしょうか。RTAが関税に限定されていたならば、国際的な中央集権化には最恵国待遇がRTAに勝るという強力な論拠が存在します。一方、RTAが規制に関するものとするならば、集権化には、競争政策、銀行規制、通信規制など、さまざまな論拠が存在することになります。経済学の分野では、このことを「財政連邦主義」と呼んでいます。RTAで対処すべき政策や課題の全てを、WTOで取り扱うべきではなく、どのような問題をWTOで取り扱うのかについて、よく考える必要があります。

    私は、地域主義と多国間相互貿易主義は、分けて考えるべきだと思っています。その理由は、第1に、背景にある政治経済学が異なるということです。RTAの基本的性格が互いの市場へのアクセスの交換であるのに対し、21世紀のRTAの基本的性格は、単刀直入に言えば、北側(=先進国)の工場を南側(=途上国)の発展に置き換えるもので、今のところRTAを締結できるのはEU、米国と日本だけでしょう。WTO自体は工場を持っているわけではなく、RTAとは役割も異なるため、WTOにとってRTAは大きな脅威ではありません。

    第2に、RTAの関税の引き下げは多国間化できますが、「国境の後ろの規律」は違います。

    第3に、関税引き下げの実施については、これまでにできるものはすでにすべて行われ、交渉のための余地がまったく残っていないため、WTOでの交渉終了は非常に困難になっています。

    まとめ

    以上をまとめますと、第1次のアンバンドリングの際のGATTとRTAは、主に関税に関するもので、第2次アンバンドリングの際の21世紀の地域主義は、主に「国境内の障壁」に関するものです。政治的関心は、工場の改革(=置き換え)にあり、市場アクセスの交換ではありません。従って、私達が答えを出すべき重要な論点は、「米国、EU、日本の規律が多国間のものなのか、あるいは、次世代の問題に関し、私達は3つの別々の国際規律を作りつつあるのではないか」、さらには「これらの規律の一部は、WTOに持ち込むことができるのか、また持ち込むべきなのか」ということです。

    最後にいくつか、WTOの将来シナリオに関する推測をご紹介しておきます。プランAは、今年中にドーハ・ラウンドが終わり、WTOの調整力が回復するというもので、そうなると、RTAだけでなくWTOで次世代の問題が取り扱われるようになります。プランBは、WTOが調整力を発揮し、21世紀の地域主義を支えるRTAや2国間投資協定(BIT)をスクラップ・アンド・ビルドするというものです。しかし、後者の場合は、ブラジル、インド、中国その他の新しい貿易大国を排除し、世界の貿易ルールを米国、EU、日本が決めるということになり、まるで19世紀の「列強」の世界へ後戻りすることを意味する可能性があります。

    コメント

    石毛 博行(RIETIコンサルティングフェロー/前経済産業審議官)

    2つの点を指摘したいと思います。まず、関税について、Baldwin教授は、地域主義はもはや関税に関するものではないと述べられましたが、現実に起こっていることを見て、私は、教授とは少し違う考えを持っています。たとえば、日本政府は現在、テレビ受像機と自動車に課せられている高い関税を撤廃するべく、EUとの間でFTAまたはEPAを締結しようと努力しています。韓国もまた、中国が自動車に課している関税が高いため、中国との間で交渉を進めています。これらの関税引き下げは、第2次アンバンドリングにおいても大きな違いをもたらすと思われることから、現在でも関税は依然として非常に重要であると思います。

    次に、21世紀の規律について。Baldwin教授は、規律がWTOまたはRTAによって設定されるべきか否かの問題を提起されていますが、より重要なのは、どのような規律が必要で、どうすれば最も効果的に規律を適用できるかだと思います。

    規律の必要性に関しては、基本的なコンセンサスが存在しますが、その適用については3つの方法が考えられます。1つは、複数国間協定で、これは、先進国が先導して作り上げた協定や条約に新興国を含めることを意味します。TPPは、複数国間協定タイプで、基本的にTPPのメンバーが21世紀のガバナンスのための新しい規律を作り上げることを目指すものです。もし日本が貿易投資によって生きてゆこうと思うなら、規律の作成プロセスに参加しないという選択肢は無いと思っています。

    第2は、セクター(部門)別アプローチです。この方法は、WTOの下で何度も採用され、ウルグアイ・ラウンド後の金融サービスなどの交渉や情報技術協定(ITA)の設立の際、大きな効果を上げました。

    第3は、Baldwin教授が述べられたとおり、奥行きのあるRTAの多国間協定化です。日本の地域協定に多国間規律の土台があるかどうか、教授のご意見を伺いたいと思います。

    最後に、ドーハ・ラウンドについて一言申し上げたいと思います。ドーハ・ラウンドが決着しない限り、WTOは、21世紀の貿易の規律を作成する作業に取りかかることはできません。従って、WTOはまず、ドーハ・ラウンドを終わらせ、世間の信頼を取り戻し、その上で前進する必要があります。Baldwin教授は、ドーハ・ラウンドの終結に関しては楽観的に見ていると述べられていまが、その理由についてお伺いしたいと思います。

    コメント

    水野 政義(農林水産省大臣官房国際部国際経済課長)

    まず、農産品貿易の場合、Baldwin教授が述べられた事情とは異なる点があることを指摘したいと思います。貿易によって消費と生産が切り離されてきた、アンバンドリングしてきたことは指摘のとおりですが、他の分野とは異なり、農業分野では生産と消費のアンバンドリングは非常に大きな懸念材料となっています。なぜなら消費者は、食品の安全、環境問題、健康問題の視点から、地元で生産された産品を好む傾向があるからです。

    また、鉱工業品と異なり、農産品の関税は今もまだ高い水準にあるものが多く、農業分野においてWTOは依然として有効なシステムといえます。市場アクセスの分野では、農産品やセンシティブな製品に課される高い関税を引き下げるための交渉が続いています。しかし、多くの発展途上国は特別な取り扱いを受けており、現在議論されている合意案では、発展途上国には関税引き下げが極僅かな幅とすることが認められ、多くの産品(農産品の5%)を引き下げの対象から除外することも許されるとされています。これは、ドーハ・ラウンドの終了後でさえ、多くの発展途上国が相当高いレベルの関税による保護を続ける可能性が高いことを意味します。

    バイオ燃料が食料の供給不足を引き起こした2008年以降、多くの国で輸出制限が行われるようになりました。この傾向は、今後も継続することが予想され、2011年には、農業製品の価格が再び過去最高を記録するとも予想されています。一部の国々では、食料の関税を一方的に引き下げることで、このような食料貿易の不確定要因に対処しようとしていますが、農業分野におけるこのような最近の動きには、細心の注意を払う必要があります。関税の引き下げは重要ですが、将来の関税と輸出対策に関する情報が共有できるよう、何らかのメカニズムを構築する必要もあります。このような意味で、貿易の分野では政策協調が重要であるというBaldwin教授のご意見に賛成です。

    コメント

    リチャード E. ボールドウィン(高等国際問題・開発研究所(ジュネーブ)教授)

    石毛氏は、2つの重要なポイントを指摘されました。1つ目の特恵関税の重要性について、私は、特恵関税は小規模の協定においては非常に重要で、大規模な協定の場合にも重要性はあると述べたわけです。加えて、ドミノ効果あるいはドミノ理論と呼んでいるものが依然として重要であるとも考えています。特に、中国、米国、EUなどの大市場へ参入する際には、5%の特恵が非常に大きな価値を持つでしょう。市場開放の多くは、2国間協定の下で行われる企業優遇措置ですが、それらは実質的にすべての人に波及していきます。従って、私は、石毛氏のご意見に全面的に賛成です。

    第2のポイントは、何をWTOで取り扱うべきかです。ジュネーブでは、次世代の問題と呼ばれ、その中身は不明確ですが、おそらくほとんどの人の念頭にあるのが投資の問題だと思います。2国間投資協定は2500件以上ありますが、これらの内容に大きな差異は無いので、こうした協定の規律を多国間化し、裁決の焦点を変更できるのではないかと思います。また、インフラ・サービスも、WTOで取り扱えるのではないでしょうか。

    TPPとルール作りは、石毛氏の指摘のように、これがWTOで行われなければ、どこか他で行われることになります。従って、石毛氏と同じく、TPPが引き続き前進するなら、日本が参加しないことは、大変困難で、かつ短絡的なことだと思います。

    WTOの見通しについては、WTOは「全員が納得できる法則、合意に基づく意思決定、高い強制力」という3つからなる「不可能のトライアングル」に落ち込んでおり、このままでは、すべてのメンバーが合意に至るのに10年はかかると考えています。しかし、このトライアングルを弱める方法として、複数国間協定、セクター協定、そして困難な裁決の除外、の3つが挙げられます。

    ドーハ・ラウンドに関して楽観的な理由は、私が話をした多くのWTO大使が楽観的だったからで、彼らは米国の誓約により、交渉の論調が完全に変ったと言っています。下院で共和党が過半数を制したことにより、プランBの時期が来ています。オバマ大統領は、多国間自由貿易主義者であり、米国を多国間協定の枠組みに戻すことを望んでいるため、私は、プランBには、ドーハ・ラウンドが含まれると考えています。オバマ大統領は、ドーハ・ラウンドによって雇用を創出することができ、妥当なドーハ・パッケージを示すことは、大統領候補の指名競争が始まる前に、共和党を分裂させる良い方法だと考えています。もう1つの理由は、オバマ大統領が超党派を望んでおり、ドーハの問題は、民主党議員と共和党議員の両方の支持を得ることができる議題だということです。

    次に、水野氏のコメントに答えたいと思います。たしかに、農産品の貿易は、私がお話しした貿易とは異なります。農業分野の貿易における多くの21世紀の問題は、WTOで取り扱うことが可能、もしくは取り扱うべきものですが、農業保護については、不可能であると思われるため、全く心配していません。富裕国の年老いた農民が最終的に隠居し、食糧が乏しくなった時、輸入制限について語ることはなくなるでしょう。むしろ、農産品に補助金を出しているEUに感謝するようになっているかもしれません。

    しかし、それとは逆に、新興国は、日本、米国、EUで保護貿易につながったのと同じ社会的緊張に直面しています。農業分野の保護主義者は、急成長に直面する社会の一体性の維持を支えており、アデレード大学のKym Andersonによると、新しい保護主義の傾向が出てきているということです。従って、私は、水野氏のご意見のほとんどに賛成です。