RIETI政策シンポジウム

全要素生産性向上の源泉と日本の潜在成長率-国際比較の視点から-

開催案内

景気が回復し、日本経済が巡航速度状態に近づくにつれ、財政再建の道筋やゼロ金利政策解除のタイミングを考える上で、日本の潜在成長率がどの程度なのかが、政策上の重要な争点になりつつあります。

一方、深刻な人口減少に直面する今後の日本では、経済成長の主な源泉は、全要素生産性(TFP)の上昇であると考えられます。日本では1990年代にTFP上昇が停滞して以来、これを如何に回復するかが、喫緊の課題になりつつあります。生産性が停滞し、米国との生産性格差が拡大するという現象は、日本だけでなく、ヨーロッパでも指摘され、多くの研究が行われています。経済産業省でも、このような問題意識をもって、「国際競争力の強化」と「地域経済の活性化」を二本柱として、継続的に人口が減少するという逆風の下でも「新しい成長」が可能なことを示す「新経済成長戦略」を策定したところです。

今回のシンポジウムでは、第1部の4つの報告において、RIETIで行ってきた、産業・企業生産性(JIP)プロジェクトや環太平洋諸国の生産性比較研究(ICPA)プロジェクトの研究成果をもとに、

  • 日本においてTFP上昇をリードしてきた産業はどこか?
  • 潜在成長率を規定する要因は何であるか?
  • 日本の潜在成長率を高める上で、規制緩和、IT産業の重視・ユーザー産業によりITの活用、サービスセクターの生産性向上、人的資本の蓄積、等の方策にどの程度期待できるか?
  • 東アジア諸国の生産性の面での日本へのキャッチアップはどの程度進んでいるか?
  • 欧州におけるTFPの停滞はなぜ起きたのか?

などについて議論します。このために、海外からもTFP研究の第一人者と呼ばれる方々をお招きしています。

第2部では、内外の有識者や日本の政策担当者によるパネル・ディスカッションを行い、議論を深めます。

実務家から研究者までの幅広い参加を得て、本シンポジウムの成果が、将来のわが国の経済成長と生産性に関する戦略を考える上で、示唆に富むものとなるように考えています。

イベント概要

  • 日時:2006年7月25日(火) 13:00-17:50
  • 会場:新生銀行ホール (千代田区内幸町2-1-8 新生銀行本店1階)
  • 開催言語:日本語⇔英語(同時通訳あり)
  • 参加費:2000円(交流会費を含む)[公印を捺印した領収書を発行いたします]
    (学生証提示の場合は1000円)
  • 主催:独立行政法人経済産業研究所(RIETI)
  • お問合せ:RIETI 加瀬知子 (Tel:03-3501-8398)

※シンポジウム終了後、インターネットにて当日の模様の一部をビデオ映像でご紹介(動画配信)する予定です。また資料も後日、本サイトからダウンロードしていただけます。

【シンポジウム映像の撮影と利用について】

プログラム

総合司会:木村貴子(RIETI)

13:00-13:10 開会挨拶

吉冨 勝(RIETI所長・CRO)

13:10-15:30 報告

チェア:乾 友彦(日本大学経済学部教授)

13:10-13:50 報告「日本における全要素生産性向上の源泉と潜在成長率」

宮川 努(RIETI前ファカルティフェロー/学習院大学経済学部教授)

深尾京司(RIETIファカルティフェロー/一橋大学経済研究所教授)

13:50-14:10 報告「全要素生産性についてEUは米国にキャッチアップできるか」

Marcel P. TIMMER(Assistant Professor, Department of Economics, University of Groningen)

14:10-14:30 Q&A

14:30-14:50 報告「世界の経済成長の源泉」

Dale W. JORGENSON(Samuel W. Morris University Professor, Department of Economics, Harvard University)

14:50-15:10 報告「韓国・台湾・中国のキャッチアップと潜在成長率」

元橋一之(RIETIファカルティフェロー/東京大学工学系研究科教授)

15:10-15:30 Q&A

15:30-15:45 コーヒーブレイク

15:45-17:45 パネルディスカッション

チェア:長岡貞男(一橋大学イノベーション研究センター長・教授)

パネリスト

吉川 洋(RIETI研究主幹/東京大学大学院経済学研究科教授)

Dale W. JORGENSON(Samuel W. Morris University Professor, Department of Economics, Harvard University)

森川正之(経済産業省経済産業政策局産業構造課長)

不破久温(株式会社東芝執行役常務・経営企画部長・イノベーション推進本部i cubeプロジェクト推進室長)

17:15-17:45 Q&A

17:45-17:50 閉会挨拶

及川耕造(RIETI理事長)

18:00-19:00 交流会

*上記プログラムの講演内容および講演者は状況により変更することがありますのでご了承下さい。