政策シンポジウム他

多様化する日本のコーポレートガバナンス-特定のモデルへの収斂?-

開催案内

今回のシンポジウムでは、1990年代半ば以降変化しつつある日本企業のコーポレートガバナンスのさまざまなパターンについて検討します。

現在、日本企業は、戦後形成されたコーポレートガバナンス制度の大きな転換期に直面しています。メインバンクシステムや株式持ち合い、終身雇用制などの日本型経営は近年崩れつつあるように見えますが、なくなったわけではありません。また、近年の法改正、企業金融の革新、さらにグループの再編や国際化を通じた企業の境界の再設定によって、新しいコーポレートガバナンスのパターンが出現してきています。しかし、こうした変革がどれだけ本当に広がっており、また、どれだけの影響をもっているかについて、専門家の間に一致した見解はありません。これらの変革が意味するのは日本企業も米国モデルに収斂しつつあるということでしょうか。あるいは、日本企業は新しい、別の形のコーポレートガバナンスを発展させつつあるのでしょうか。また、改革によって企業パフォーマンスは向上するのでしょうか。言い換えれば、パフォーマンスの向上に寄与する改革とはいかなるものでしょうか。

今回のシンポジウムでは、RIETIにおいて行われた、第一線に立つ内外の専門家による近年の日本企業のコーポレートガバナンス改革に関する実証研究の成果をご紹介致します。報告を通じて、近年、日本企業がそれぞれ異なった度合い、組み合わせで多様な改革を試みていることが明らかになります。さらに、多様なパターンのコーポレートガバナンスの出現は、均一なコーポレートガバナンスしか形成されないという従来の「日本モデル」概念を疑い、一国の中でのコーポレートガバナンスの多様性を理解する研究への新しい課題を提起いたします。また、この多様化を理解することが、今後の企業改革やそのための制度設計において重要な意味をもつことも強調されます。

なお、今回の研究成果は青木昌彦、グレゴリー・ジャクソン、宮島英昭編著『Corporate Governance in Japan: Organizational Diversity and Institutional Change』として2005年にOxford University Pressより出版予定です。

イベント概要

  • 日時:2004年10月20日(水) 9:00-18:00
  • 会場:国際連合大学エリザベスローズホール(東京都渋谷区)
  • 開催言語:英語⇔日本語(同時通訳あり)
  • 参加費:800円[公印を捺印した領収書を発行いたします。]
  • 主催:独立行政法人経済産業研究所
  • お問合せ:RIETI 松倉多恵子(Tel:03-3501-8398)

※シンポジウム終了後、インターネットにて当日の模様の一部をビデオ映像でご紹介(動画配信)する予定です。また資料も後日、本サイトからダウンロードしていただけます。

【シンポジウム映像の撮影と利用について】

プログラム

司会:細谷 祐二 (RIETI研究調整ディレクター)

9:00-9:10 開会挨拶

吉冨 勝 (RIETI所長・CRO)

9:10-9:20 イントロダクション

宮島 英昭 (RIETIファカルティフェロー/早稲田大学商学部教授・ファイナンス研究所所長)

9:20-10:40 セッション1:「企業の経営悪化と企業・銀行間関係」

セッションチェア:宮島 英昭 (RIETIファカルティフェロー/早稲田大学商学部教授・ファイナンス研究所所長)

9:20-9:40 論文発表:「企業・銀行間関係の変化」

蟻川 靖浩 (RIETIファカルティフェロー/早稲田大学大学院ファイナンス研究科助教授)

9:40-10:00 論文発表:「企業再生とコーポレート・ガバナンス:法的整理の役割」

胥 鵬 (RIETIファカルティフェロー/法政大学経済学部教授)

10:00-10:20 コメント

堀内 昭義 (中央大学総合政策学部教授)

10:20-10:40 質疑応答

10:40-10:50 休憩(コーヒーブレイク)

10:50-12:10 セッション2:「変貌する所有構造:企業は誰のものか?」

セッションチェア:蟻川 靖浩 (RIETIファカルティフェロー/早稲田大学大学院ファイナンス研究科助教授)

10:50-11:10 論文発表:「持合い解消の計量分析:その要因と含意」

宮島 英昭 (RIETIファカルティフェロー/早稲田大学商学部教授・ファイナンス研究所所長)

11:10-11:30 論文発表:「海外機関投資家と企業統治」

Christina L. AHMADJIAN (一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)

11:30-11:50 コメント

小佐野 広 (京都大学経済研究所教授)

11:50-12:10 質疑応答

12:10-13:20 休憩

13:20-14:40 セッション3:「取締役会の変革:いかに理解するか」

セッションチェア:胥 鵬 (RIETIファカルティフェロー/法政大学経済学部教授)

13:20-13:40 論文発表:「1997年の転換:日本のコーポレート・ガバナンスおよび会社法の変化」

宍戸 善一 (成蹊大学法科大学院教授)

13:40-14:00 論文発表:「変貌する取締役会:その実態・背景・効果」

宮島 英昭 (RIETIファカルティフェロー/早稲田大学商学部教授・ファイナンス研究所所長)

14:00-14:20 コメント

矢内 裕幸 (日本取締役協会専務理事)

14:20-14:40 質疑応答

14:40-14:50 休憩(コーヒーブレイク)

14:50-16:10 セッション4:「雇用の側面からみた企業統治」

セッションチェア:細谷 祐二 (RIETI研究調整ディレクター)

14:50-15:10 論文発表:「日本企業の金融システムと人的資源管理システム」

阿部 正浩 (RIETIファカルティフェロー/獨協大学経済学部助教授)

15:10-15:30 論文発表:「経営参加、雇用調整と分配をめぐる対立」

Gregory JACKSON (RIETI客員研究員/Kings College London専任講師)

15:30-15:50 コメント

宮本 光晴 (専修大学大学院経済学研究科教授)

15:50-16:10 質疑応答

16:10-16:20 休憩(コーヒーブレイク)

16:20-18:00 セッション5:総括

セッションチェア:吉冨 勝 (RIETI所長・CRO)

16:20-17:00 論文発表:「日本における制度変化の進展と企業統治の多様化」

Gregory JACKSON (RIETI客員研究員/Kings College London専任講師)

宮島 英昭 (RIETIファカルティフェロー/早稲田大学商学部教授・ファイナンス研究所所長)

17:00-17:20 コメント

伊藤 秀史 (一橋大学大学院商学研究科教授)

17:20-17:40 コメント

寺西 重郎 (一橋大学経済研究所教授)

17:40-18:00 質疑応答

18:10-19:30 交流会(立食形式) (会場:レストラン“アン・カフェ”)

*上記プログラムの講演内容及び講演者は状況により変更することがありますのでご了承下さい。

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