新春特別コラム:2016年の日本経済を読む

我々は経済成長によっていかなる社会像を描こうとしているのか:投稿意見

グローバルな視点から社会像を描き直す必要性

長野県テクノ財団 専務理事 小林 宰

「GNPの増大=経済成長=生産性の向上」という視点のみからの産業政策では、財やサービスの爆発的な増加が見込みにくい日本においては、20年にわたる低い経済成長から脱出することのみならず、質的に豊かな国民生活を真に実現することも困難であろうという、本コラムの筆者の指摘には、大いに共感させられる。

その前提で、質的に豊かな国民生活の確保に必要な経済成長を如何にしたら実現できるのか。その道筋を指し示す政策の提示が求められている。そして、その政策の在り方に関する議論においては、もっとグローバルな視点を取り入れていただきたい。
本コラムの筆者の提言も、大きな成長を期待できない日本市場を前提にしている。世界には、非常に貧しい人々から、高所得の人々に至るまで、多種多様な人々で構成される大規模な市場が横たわっている。

日本産業は、世界の人々に雇用の場を提供し、真に豊かな生活を確保するために必要な方策(社会的課題の解決に資するハード・ソフトなど)を様々なビジネスモデルによって提供できる、高い潜在的能力を有しているはずである。したがって、日本の経済成長のための政策課題を議論される方々には、世界中を質的に豊かにすることに貢献すべき日本という視点から、もっと発展的で戦略的な産業政策の提示を期待したいのである。

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