「あるべき社会システム」とは何か
匿名希望
我が国は、このたびの大災害を奇貨として従来からの社会システムの課題を解決し、世界に誇れる新たな社会システムを有する国家として再生すべきである、という筆者の主張に反対する人はだれもいないだろう。また、今回の災害対応の反省の下に、新たに構築すべき危機管理体制の究極をなすものが、いわば「日本人」の精神性にあるという結論付けも理解されるだろう。しかし、今後人的にもグローバル化が進む日本社会においては、「日本人」の存在の有無に係わらず、「究極のフェイルセーフ」が達成できるシステムを構築することが不可欠なことも明らかであろう。そして、「再生の前提としてのリスク再考」の向こうに提起されるべき「再生日本」の具体的姿とそれを実現するための具体的戦略についての議論が、まだまだ活発にされているとは言い難い状況にあることに失望感を抱いているのは、私だけではないだろう。社会科学、自然科学等の様々な分野の研究者の方々の間での活発な議論が、広く一般の人の目に見える形で展開されていくことを期待したい。多くの一般の人の理解・応援なしでは、真の復興への大型投資も加速できないだろう。