大震災後の東北地域の復興戦略
匿名希望
大震災後の東北地方を中心とする復興戦略について早めに議論を始めることは速やかな復興実現に大きく貢献する。しかし、このコラムの主張は、復興戦略を実現するために必要になる財政的な環境整備に関するものであって、その良好な財政的環境の中で、それを利用して、具現化すべき復興戦略に関する議論はされていない。復興後の東北地方の新しい姿を提示もしていない。その議論なくして効果的な復興戦略を策定できない。地震、津波、放射能汚染等の耐え難い経験を活かし、環境、生活、産業等のあらゆる分野で世界的優位性を有し、だれもが住みたくなる理想的な未来地域の形成を目指すことが復興戦略となる。
非常時に常識や理論は無用
上席研究員 小野 五郎
復興投資には100兆円規模必要だと思うし、併行して財政再建が不可欠にも異存ない。が、政策におけるウィズ・ウィズアウト評価からして、後付の理屈より俯瞰的見地からの判断が求められる。1990年代の出し出し貧乏政策や小泉米国模倣政策による擬似構造改革の失敗の愚をくり返してはならない。合成の誤謬となりがちな専門家の局所的常識の積上げではなく、将来の日本構築という視点が不可欠。小生は根っからの均衡財政論者だが、今次非常時には民間資金を引き出すため復興債そのものではなく借換債の日銀引受けまで踏み込むことを提唱する。ただし、大盤振舞いでの焼け太りを断じて許してはならないが。