望ましい国内排出量取引制度の提案:投稿意見

馬奈木 俊介
ファカルティフェロー

地球環境問題の本質を見失うな

上席研究員・埼玉大学名誉教授 小野五郎

地球環境を「地球公共財」だというなら、ことを温暖化問題に矮小化すべきではない。小生が、かつてローマクラブに招待されマドリッドの国際会議で発表したように、現代文明の本質たる多資源・多エネルギー消費がもたらした「エントロピー増大」という非可逆な物理法則だと認識すべきである。それからすれば、CO2などマイナーな問題であり、排出権取引そのものがナンセンスだと分かる。話を行動経済学とか計量問題化することは、単に素人に分かりにくくするだけではなく、ことの本質から離れてしまうことになる。

日本を小国と仮定して、欧米が無理矢理押しつけてくる与件設定で議論するというのであれば、「地球公共財」などと大上段に振りかぶる必要はない。ただ、この種の学位論文的議論の結果は、皆さんのような若い人たちの未来そのものを破壊することになるが、それも承知なら仕方ないと思う。

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