「週休3日制」導入による経済・社会変革を:投稿意見

岩本 真行
コンサルティングフェロー

消費拡大のためのディーセントワーク

ITコンサルタント 村上裕康

これまで、サプライサイドからのデマンドプッシュ型の内需創出については多く語られてきたが、消費者サイドからのデマンドプル型の内需育成についてはあまり議論されてこなかった。岩本氏が提案する「可処分時間」という概念は、国民生活の質を改善し、デマンドプル型の内需育成につながるものである。

「可処分時間」の増加は国民生活の質を向上し、生活の質の向上は良質なサービスの需要を創出する。生活の質の向上が良質なサービスのニーズを創出し、良質なサービスの提供が生活の質を向上するという正のスパイラルが発生する。

岩本氏が提案する「週休3日制」は、さすがに過大な要求であるとしても、現状は「週休2日」にも遥かにおよばない。

OECD Factbook によると日本の雇用者一人あたりの年間労働時間は1800時間以下である。しかしOECDのデータは週に1時間でも働く者を雇用者としてカウントするため、労働時間の実態を反映しているとはいえない。

「週休2日」、「有給休暇20日」、「法定祝日11日」としても常勤労働者の平均的な年間所定労働時間は1840時間である。「労働力調査」(2005年)において、統計の対象を男性かつ週35時間以上働く労働者に限ると、週労働時間を48.9時間と見積もることができる。月間の所定外労働時間に換算すると約38時間相当であり、年間の実働労働時間は2296時間である。

このような労働環境のもとで質の高い生活が送れるはずはない。勤労者の「可処分時間」を増やしてこそ、家族との団欒や地域コミュニティにおける活動も可能になる。労働時間が減ることにより「可処分所得」が減るにしても、夫婦で働くことにより所帯あたりの「可処分所得」を増やすことも可能である。

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